オートアスキーの厳密なテストの末、このスクウェアが販売する『ドライビングエモーションTYPE-S』(以下TYPE-S)は、読者のみなさんにおすすめできないという結論に達した。いままでにもグランツーリスモ2(GT2)、リッジレーサー5(R5)と、ドライビングゲームのビッグタイトルをテストしてきたが、このTYPE-Sは3つのうち最低の評価をつけざるを得ない。
その理由は大きく分けて3つ。今回はそのうちのハンドリングについて述べる。
●真っ直ぐ走らない!!
とにかく全体的に難しい。どのゲームにも「セルフセンタリング」といって、キーをはなすと自然と中立に戻るように設定されているが、このゲームはそれがきわめて軽い。つまり、左右のどちらにもキーを入れていない状態でも、真っ直ぐ走らないのである。
この結果、目で見て真っ直ぐではないから、逆にキーを入れ補正して、また逆にキーを入れることになり、フラフラしてしまう。もちろん実車を考えると、ハンドルから手を離しているからといって真っ直ぐはするわけではないので、シミュレーターとしては優秀なのだろう。速度を上げていくと中立に戻るスピードが速くなるという設定もいいと思う。
●ゲームは実車とは違う
しかし、実車の場合は目で見る情報以外にも、ステアリングの手応えや身体にかかるGなどがあって、それらを総合的に感じとりながら真っ直ぐ走っている。ゲームではもちろんそこまで望めない。ゲーム画面での操作を考えると、もう少し甘い設定でもよかったのではないか。
標準コントローラーのアナログスティックを使って、キーコンフィグメニューでステアリングレスポンスや中立でのマージンなどを好みに設定すると、よりドライビングしやすくなる。しかし十字キーでは設定を変えることはできない。さらに、スピードが上がるにつれてキープッシュ一回における舵角が増え、ますますフラフラしてしまうのだ。これも動きとしては正しくても、プレイしにくい。
GT2は、シミュレーション度合いとゲーム性のバランスが理想的だと思う。TYPE-Sはシミュレーターとしてはより実車の動きに近くなっていて、よくできたシミュレーターではあるが、ストレスがたまるばかりでおもしろくない。ちなみにR5はGT2よりさらに「ゲーム」になっていて、「実際のクルマはこんな動きはしない」という部分もあるが、ゲームとして楽しめる。
よって、相当ドライブゲームに自信がある上級者ではないと、すぐにつまらなくなってしまうだろう。自分が「普通のドライブゲーマー」と思うかたは、購入前に一度プレイしておくべきだ。