
越前国府大使として平安遺跡の発掘体験に参加。ユネスコ創造都市ネットワーク加盟に向けエールも。
6月15日、福井県越前市は、俳優・岸谷五朗さんを本興寺に招き、越前国府の発掘体験と、ユネスコ創造都市ネットワーク加盟を目指す文化イベントを開催しました。
越前は、紫式部が生涯で唯一、都(京)を離れて暮らした地です。
市は、令和6年の大河ドラマ「光る君へ」で紫式部の父・藤原為時を演じた岸谷さんを、令和6年11月に「越前国府大使」に委嘱。
今回のイベントは、岸谷さんにとって、大使として初のPRイベントとなりました。
文化の原点「越前国府」を掘り起こす ~越前国府発掘プロジェクト~
平安期、越前の地の政治と文化の中心地であった「越前国府(こくふ)」。
国府は行政の中枢であると同時に、人・情報・文化が行き交う、地域文化のはじまりの場所です。
日本海側に位置する越前は、大陸文化が流れ込み、都とは異なる価値観や美意識が交わることにより、独自の文化が育まれました。「光る君へ」でも、国際色豊かな土地として描かれています。
越前和紙や越前打刃物など、越前の手仕事が今もなお受け継がれている背景には、このような風土があります。
紫式部もこの地で暮らし、都とは異なる風土や人との出会いが、彼女の感性を深く育んだともいわれています。
しかし、その越前国府がどこにあったのか、確かな場所は長らく分かっていません。
越前国府の場所を特定するとともに、まちの誇りとして未来へつなぐため、令和5年に始まったのが「越前国府発掘プロジェクト」。
これまでに、国府関連施設を囲むとされる区画溝や緑釉陶器などが出土し、大きな注目を集めています。
3年目を迎える今年は、50人以上の市民ボランティアが発掘に参加し、建物跡の発見を目指しています。
発掘調査の場所は、越前市国府一丁目の本興寺(ほんこうじ)。
このお寺には、「紫式部ゆかりの紅梅」があります。紫式部が都に戻る時に境内に白梅の木を植え、その後、紫式部の娘が母をしのんで紅梅の木を植えたと伝えられています。
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イベント当日、岸谷さんはツナギにヘルメット、長靴姿で現れ、市民とともに発掘作業を体験。「ガリ」という両刃の鎌を使って丁寧に土を掘り進め、平安時代の須恵器とみられる破片を5つ発見しました。
発掘体験を終えて、岸谷さんは「藤原為時さんが掘らせてくれました。1000年前のものを見つけた、眠っていたものを掘り起こしたというよりは、ずっと生き続けていた、存在していたものに囲まれていたという感覚でした。破片に触れた瞬間、嬉しかったです。つながったという感じでした。発掘をしたいという夢が叶い、とてもいい経験でした。」とコメント。
「発掘はこれからも何年もかかりますが、市民の皆さんに応援してもらって、国府の場所を特定してほしいです。」と、市民にエールを送りました。
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発掘体験に引き続き、学芸員とのトークセッションが行われました。
岸谷さんは「当時の越前には、大陸から人が来て、都の文化も入ってきました。為時は、政治家として剛腕タイプではなかったのですが、国司としてまっとうできました。一番いい仕事をしていたのが、越前にいたときです。この土地の人たちの穏やかな空気の中にいたからだと思います。紫式部も越前和紙に出会い、源氏物語を書くきっかけを得ました。日野山の歌を残したのも、越前が、彼女にとってそんな気持ちにさせる場所だったからではないでしょうか。」と語りました。
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ユネスコ創造都市ネットワークの加盟に向けて ~グリーティングカードづくり~
越前市は、ユネスコ創造都市ネットワークへの加盟を目指しています。
この日のイベントでは、越前市の加盟が決定した際、世界350の創造都市に届けるグリーティングカードを市民が作成。越前市には豊かな歴史や文化、伝統工芸があるという英文の書かれた越前和紙のカードを、色とりどりの和紙で飾りつけました。
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岸谷さんは、創造都市を目指す越前市へのメッセージを、自身が令和6年2月に漉いた越前和紙に綴りました。
<岸谷五朗さんが越前和紙に記したメッセージ>
From Tradition to Creation Bringing the Culture of Echizen into the Future
(伝統から創造へ 越前の文化を未来につなぐ)
メッセージに込めた想いについて、岸谷さんは、「越前には素晴らしい過去と文化がありますが、この先の未来を信じることもまた大切だと思います。それが、越前が世界につながることになるのではないかとの思いを込めました。ユネスコ創造都市ネットワークに加盟すると、越前が世界とつながり、世界中から人がやってきます。越前の人には、心の温かさがあります。1000年前、越前の地に異文化が入ってきたときも、越前の人は心に芯を持ち、一番大切なところを守り、ぶれることなく、地道に一歩ずつ進んできました。自分の道を信じて進むことが、大事だと思います。越前の人に流れる空気には、静かな強さを感じます。ユネスコ創造都市ネットワーク加盟によって新しいものが入ってきたときに、その魅力を保ちつつ、良いものを取り入れていってほしいと思います。」とコメントしました。
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