交通事故削減と自動運転支援を目的に、日本国内で普及が進む「760MHz帯 ITS(高度道路交通システム)」は今、新たなフェーズに入りつつある。従来は車載機中心だった ITS通信だったが、近年では自転車や歩行者といった“弱者交通”へと対象を拡大し始めているのだ。
◆京セラが開発する760MHz帯 ITS向け小型SoCの狙い
京セラの横浜事業所で実施されたデモでは、760MHz帯ITSを活用した路車協調システムの最新デモンストレーションとともに、自転車搭載を前提とした小型・低消費電力SoC(System on Chip)の開発状況が明らかになった。これにより、従来は高価かつ大型だったITS端末が、自転車や携帯型端末へと広がる可能性が現実味を帯びてきている。
そもそも ITS(Intelligent Transport Systems)は、通信技術やセンサーを活用して、人・車両・道路インフラを情報でつなぎ、交通事故や渋滞の削減を目指すシステムのことを指す。その中でも760MHz帯ITSは、日本が専用周波数を用いて独自で進めるV2X(Vehicle to Everything)通信技術であり、「車車間通信(V2V)」「路車間通信(V2I)」「車歩間通信(V2P)」などを低遅延かつ高信頼性の下で実現する。
特に見通しの悪い交差点や大型車両など生まれる死角に対しては、カメラやLiDARを備えた“スマートポール”が危険を検知し、車両や自転車へリアルタイム通知を行うことで、事故回避支援の実現に役立つとされている。しかし、このスマートポールは全国に20万カ所ほどある信号機のうち100カ所程度しか導入されていないのが現状だ。
そこで京セラは、このインフラ向けに開発してきた無線通信技術を活用し、無線(RF)とベースバンド、セキュリティの各機能をワンチップ化したSoCを開発。これを自転車や特定小型原付といった新たなモビリティにとどまらず、将来はドライブレコーダー、カーナビゲーションなど後付け車載器への搭載も視野に入れて普及拡大を目指す考えだ。









