タイコエレクトロニクスジャパンは、10月1日から社名を「TE Connectivity」に変更する。社名変更にあたって、同社の取り組みや今後の戦略についてのプレスカンファレンスが開催された。主力となるオートモーティブ分野、次世代車両に関するコメントもあった。
◆3つの注力分野はどれも自動車業界に深くかかわる
タイコエレクトロニクスジャパンの前身は日本AMPである。電子機器、通信機器などの各種コネクターでトップシェアを誇っていた会社だ。スイスに本社があるTE Connectivityの日本法人として事業を続けていたが、10月1日よりグローバルでのブランド力を強化するため社名変更を行う。新しいブランドと今後の事業展開への意気込みを語る鶴山修司(代表取締役社長)は、これから注力する分野として「自動車・eモビリティ」「次世代ものづくり」「Cloud/AI」の3つを掲げた。

オートモーティブ事業は、TE Connectivity(TE)の売り上げで主力となる基幹事業だ。80年代に始まる自動車のE/E化とともに着実にシェアを伸ばした領域だ。近年はCASE革命による100年に一度の変革期を迎えている。鶴山氏はこの成長市場へのコミットメントとして「自動車・eモビリティ」筆頭に挙げた。
次世代ものづくりとは、FAやロボット産業、さらには医療機器などインダストリー事業全般を指す。産業ロボットの多極化、制御の高度化はより小型、高効率のニーズがある。Cloud/AI分野では、急増するプロセッサニーズ、データセンターニーズが牽引する。ここでも高層大容量な通信チャネル、配線、さらには電力供給に、同社のコネクタ、ケーブル、センサー技術が欠かせない。
もちろんこれら3つの分野は、そのまま自動車産業のSDV、自動運転など先端市場に直結するようになっている。
◆800Vソリューションは次世代車両の主流になる
オートモーティブ関連事業の説明は木村英史氏(日本/ASEAN地域オートモーティブ事業部 営業&マーケティング本部本部長)が行った。

電動化や自動運転といったトレンドは、自動車業界に新しいテクノロジーやソリューションを求めている。コネクターも小型化、高圧化、高速大容量化が求められている。TEグループでは、グローバルで2500人以上のエンジニア、19の開発拠点、26の製造拠点を持ち、各国、地域ごとに異なるニーズや要件に応えている。欧米中日など、主要なOEM展開地域をカバーする形で、OEMごとの要求品質も満たすような体制をつくっているという。
木村氏は、電動化や自動運転は国によって進化の度合いが違うといい、全体のトレンドを追うのは難しいとする。その中でも高圧化と高速化の動きは確実で、3~5年後以降は、主流の技術になると見ている。