ドイツの特殊化学品メーカーであるランクセスの日本法人は4月21日、2022年度の業績および2023年度の事業活動に関するメディア向け説明会を開いた。幅広い製品を手掛ける同社だが、ここではタイヤに使用される原材料とEV関連の新製品について取り上げる。
深まる自動車産業との結びつき
バイエル社から2004年に分離・独立したランクセスは、化学品や添加剤、工業用の中間体などの開発・製造・販売を行う。高性能プラスチック素材や金属とプラスチックによるハイブリッド技術、ガラス繊維強化プラスチックなどは、クルマの多くの部品に使用されている。車載バッテリーに必要なリチウムやニッケルなど金属の抽出や回収に必要な製品およびノウハウも有しており、電動化が進む自動車産業との結びつきも深まっている。
2022年通期のグローバルにおける売上は、前年同期比でおよそ33%増の約81億ユーロにのぼった。原材料やエネルギーのコスト上昇といった事業環境にもかかわらず、純利益は1億8,400万ユーロとなり、昨年比で60%増えたという。日本法人のジャック・ぺレズ代表取締役社長は、「特殊化学品事業に注力するなど、事業再編戦略が功を奏したことが厳しい環境下で成長を実現した要因」だと語る。

タイヤの製造・リサイクルで環境負荷を低減
世界的に進む持続可能性への流れを、同社はビジネスの機会と捉えているという。タイヤメーカー各社は、2050年にカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げている。自動車関連の売り上げがおよそ6割を占めるという「ラインケミー(RCH)」ビジネスユニットでは、タイヤの環境性能を高める新しい老化防止剤を発表した。
ゴムは、その製造過程で硫黄などを加える“加硫”を行う。これは弾性を与えるために必要な工程だが、加硫物は酸素や熱によって劣化する。タイヤの場合、経年劣化で亀裂や分解が生じ根本的な損傷を与える危険性がある。老化防止剤は、有害な外的環境からタイヤを守る添加剤だ。
ランクセスの「ブルカノックスHS」は、含有物の50%以上がサステナブルな原材料を使用しているという。2023年末までには、生産を担うブルンスビュッテル工場(ドイツ)で持続可能な製品の認証制度である「ISCC (国際持続可能性カーボン認証)PLUS」を取得する予定とのことだ。タイヤメーカーにとっては、新たにISCCの認証取得作業を行うことなく同製品を使用できるメリットがある。
