アイシングループは、米国ロサンゼルスで開催された「第28回ITS世界会議ロサンゼルス2022」に出展。「カーボニュートラル」「移動」「安全安心」の3本柱を提案し、それらはユーザー目線で世の中に提供できることを目標とすることを明らかにした。
◆新型クラウンにも搭載した「eAxle」を提供
具体的には、ITSという作り手側の考え方ではなく、世の中にある社会的課題を解決し、ユーザーにいかに喜んでもらえるか、そこを改めて開発事業を考えていくことにあるとした。その一例がデンソーとの合弁会社「BluE Nexus」によって提供されている、トヨタの新型クラウン「クロスオーバー RS」用の1モーター・ハイブリッドトランスミッション「eAxle」の開発だ。
新設計のDirect Shift-6ATに駆動用モーターとインバーターを一体化したもので、加速性能の高さと燃費向上を両立させたことを特徴とする。会場にはその製品を出展し、アイシンではこの製品を中心に車両の電動化に取り組み、カーボンニュートラルの達成にも貢献できるとする。
人の移動という観点では、ラストワンマイルで活用できる一人乗り用モビリティ「ILY-AY」がある。アイシンは様々な企業との協力関係の下、周囲の環境整備も含め各地で実証実験を進めてきたが、2020年3月にはトヨタオートモールクリエイトが運営するショッピングセンター「カラフルタウン岐阜」での有償リースを開始した。
これを皮切りに全国の商業施設への展開を進めていく計画で、パーソナルモビリティでのラストワンマイルでの利用を含め、MaaS社会の新たなニーズを見据える。
また、物流における革新もカーボンニュートラルの観点で推進する。現在は社内物流に大きな課題があったことから、その解決のために配送ロボットによる自動運転化の実証実験を進めているところだ。当初は床に設置した磁気テープをガイドラインに使う自動走行ロボットからスタートしたが、現在はガイドラインなしで走行できるロボットも開発。会場ではその配送ロボットを使ったデモンストレーションも行われた。
◆子供の車内置き去り対策にミリ波レーダーを採用
子供の車内への置き去りをセンサーで検知するシステムも出展された。子供のの車内置き去り問題は全世界で共通の課題となっており、アメリカ国内の調査データによれば1990年から2021年の32年間で累計1018人、直近5年間では年平均で40人もの子供が車内放置によって死亡しているという。そこで米国では子どもの車内放置を検知するシステムの設置を求める法案「Hot Cars Act」 が提出され、欧州でもEuro-NCAPのロードマップ2025(2017年公表の自動車安全対策案)にも必要性が記載されているところだ。アイシンはこうした動きにいち早く対応するものとして開発を行ってきた。