【EVトランスフォーメーション】EV化に伴うエネルギープラットフォームの未来

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モビリティ×エネルギーの潮流

昨今、カーボンニュートラル化、自動車のEV化に向けた動きの進展を背景として、モビリティ業界とエネルギー業界で相互乗入れの動きが北米を中心に活発化し、日本でもその動きが始まっている。このモビリティ/エネルギーが交差する領域において、新たな事業機会が急激に増えていると前回の記事にまとめた。

【EVトランスフォーメーション】次なるMaaSの事業ヒントはこれだ

モビリティ×エネルギーの新領域において、今後の事業化可能性を探るこの連載企画の中、今回は「EVフリート」領域における事業可能性について解説していく。

その上で、まずはモビリティ×エネルギーの事業領域について改めてお話ししたい。EV化に伴う本質的な変化の1つとして、「動力源」がある。当然ながら、これまでは車の動力源がガソリンであり、その需給をするものがガソリンスタンドだった。それが、EV化に伴い、動力源が電気となり、需給する場所も自宅などに変わってくる。そうなると電気・ガスなどの「生活インフラ」とEVが密接に繋がるため、エネルギー企業はモビリティビジネスへ、そして、モビリティ企業はエネルギービジネスへのアプローチが増加している。

電力・エネルギー会社の危機感

電力会社の主事業を起点に考えた時に、電力会社としての最悪のシナリオは「老朽化したインフラのメンテナンス会社になること」だと推測している。もう少し細かく伝えると、もともと発電と送電の小売りをパッケージとして商品化していたものが、“電力小売の自由化”が起きたことで、電力ビジネスに様々な企業が乗り出し、競争が激化している。

例えば、携帯会社や石油会社、さらには自宅に太陽光設備を設置することで電力自体を自分たちで作っていく発想など、従来の電力会社以外の電力サービスが増えてきているため、これまでのビジネスが通用しなくなってきている。そのため電力会社はインフラのメンテナンスだけではなく、様々な領域で事業を広げていきながら収益を獲得していく必要があるだろう。

【EVトランスフォーメーション】EV化に伴うエネルギープラットフォームの未来

消費者が様々な電力を自由に選択できる現在、電力会社自身は既存事業で収益を得ることに加えて、モビリティサービスやホームサービスなど周辺サービスを提供する必要性が高まっている。主収入源である電力販売のみではなく、生活者のデータを得ながら顧客接点を設計し、電力以外の商品を取り扱うことが、今後のビジネスの鍵となってくるではないだろうか。

実際に、海外の事例にはなるが、アメリカの電力大手会社の「DUKE ENERGY」はデータドリブンカンパニーを目指すことを宣言し、既存の電力事業から得られるデータを活用したビジネスをメインの収入源としていくことを大々的に発表した。

データ活用での国内事例では、モビリティやエネルギーデータをもとに未来都市を創造するTOYOTAの「ウーブンシティ構想」が代表的な取り組みとして挙げられる。

モビリティとエネルギーが融合していく中、2つの巨大市場のどこの事業ドメインを狙っていくかが、この領域における事業開発を考えている各社にとっての大きなテーマになるだろう。

データビジネスの必要性

前置きが長くなってしまったが、本記事では、前回の記事で紹介した「EVXカオスマップ2021」の右下に位置する「EVフリート」の事業開発の可能性について解説していく。

【EVトランスフォーメーション】EV化に伴うエネルギープラットフォームの未来

まず、フリート管理について説明すると、法人車両を持つ企業において、所有する車両そのものをフリートと表し、車両管理のことは「フリートマネジメント」と呼ばれている。また、フリートという言葉で表す車両は、法人所有の車両(あるいは事業で使用する車両)のことであり、自家用車などの個人所有の車両のことはフリートとは表現しない。

今までのフリート管理は車両の現在位置や走行履歴、保険情報など車両の管理がメインだったが、EV化が進めばエネルギー供給源が電気に代わるため、エネルギーマネジメントの重要性が高まってくる。

これまでのフリート管理におけるエネルギーマネジメントの領域は、ガソリン費の削減程度。そのため実施事項は大手石油会社との法人契約だったものが、今後、EVが広がる中で、安い電力会社から充電するという単純なことではなく、電力プランや充電量・充電時間帯など様々な要素が絡んでくる。


《横山 賢治》

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