世界の多くの国がパンデミックからの回復へ向けた取り組みに苦戦する中、電気自動車(EV)に対する消費者の意識およびそれに伴う販売台数には急激な増加がみられました。これはEVを地球温暖化・気候変動対策のカギと考える人々にとっては追い風となるニュースであり、自動車産業全体にとっても大きなターニングポイントであると言えます。内燃エンジンだけでは気候変動に関する目標を達成することはできません。では、バッテリー式電気自動車(BEV)だけが、我々をカーボンニュートラルへと導く唯一の道筋なのでしょうか?

その代替となる道筋は、水素燃料電池車(FCV)およびeFuelテクノロジーによって示されています。2021年9月にミュンヘンで開催されたIAA Mobilityでは、業界の専門家らが各種テクノロジーの長所・短所、それらが業界の炭素排出量の大幅な削減にどのように寄与し得るかについて議論を交わしました。こうした専門家の意見や同カンファレンスで全体を通して導き出された結論は、BEVは気候変動問題への対策の一つではあるものの、他の選択肢を無視することはできないというものです。SBD Automotiveでは、本記事を含む全3回の連載記事で、これらのテクノロジーの長所・短所を比較検討し、今後の可能性について検証していきます。