前回は、私たちにとって最も身近なマイクロモビリティである自転車が、カーボンニュートラルと密回避にシフトする世の中でどのようにその立ち位置を変えつつあるかについて解説しました。高性能化した自転車によりファースト・ラストワンマイル以上の距離を移動することが容易になったことで、自転車には2次交通を補完するだけのポテンシャルが秘められていることは前回お伝えした通りです。その流れをさらに加速するのが、昨今普及が急速に進んでいる電動自転車です。後編となる今回は、e-bikeをはじめとする電動自転車と、自転車が普及していく上での課題を中心に解説します。
販売が好調な電動自転車
電動自転車の販売は非常に好調で、前回も紹介した米国におけるカテゴリー別自転車販売金額に関するデータによると、2020年6月期における販売金額は前年度比190%増の1億ドルに迫る勢いとなっています。

わが国においても、経済産業省から発表されている生産動態統計によると、2020年の国内総自転車出荷販売台数約160万台のうち約74万台は電動アシスト自転車となっており、その好調さが伺えます。これまで近距離用の動力付き2輪車として最も普及していた、気筒容積50ml以下の原動機付自転車(いわゆる原付)とはその出荷販売台数においてすでに逆転しており、2009年の時点で原動機付自転車の出荷販売台数は約27万台であるのに対し、電動自転車は約32万台となっています。電動自転車の出荷販売台数が上回った理由として、保管場所や街中での駐輪場の確保が原動機付自転車と比較して容易であること、免許不要であること、価格が安いこと、そして自転車が電動化したことにより移動可能な距離が延び利用範囲が重なったことなどが考えられます。