5月中旬の好決算発表以降、トヨタ自動車の株価が上昇している。5月31日の東京株式市場で、一時、前週末比92円高の9227円まで上昇し、上場来高値を更新した。取引時間中の時価総額が、2015年3月24日以来、約6年2か月ぶりに30兆円の大台を超えたそうだ。
きょうの読売や毎日などが報じているが、「新型コロナウイルス流行の収束が見通せない中、米中市場を中心に好調な自動車販売が続いていることを投資家が評価した」などと伝えている。
また、アナリストの中には「半導体不足による生産への影響を最小限に抑えたことが評価につながった」とも指摘しているという。
ただ、上げ潮ムードが続くトヨタ株に水を差すような動きも見られる。きょうの朝日によると、米国で自動車の価格が急上昇。半導体不足の影響で、メーカーの生産が減っていることが主因だという。新車販売店では、在庫不足に陥ったことで値上げに動き、需要が増えた中古車の価格も高騰。「半導体不足は来年も続く可能性があり、市民生活への影響も長引きそうだ」などと取り上げている。
一方で、新型コロナウイルスの感染者が、これまで比較的少なかった東南アジアで急増。インドを上回るペースで拡大が進むマレーシアでは、6月1日から全土でロックダウン(都市封鎖)に踏み切り、トヨタ自動車やホンダなどが工場停止を余儀なくされるという。きょうの日経が1面準トップで報じているが、「このまま各国で感染拡大が続けば、国際的なサプライチェーン(供給網)にも打撃が及びかねない」と指摘する。
それによると、マレーシア政府が大部分の業種で事業を禁止。自動車や製鉄業は通常の10%の出社しか認めないという。このため、トヨタは1日から、原則として現地での生産、販売とも停止。工場の再開時期は「規制などを踏まえて判断する」そうだ。2020年の現地での生産実績は約5万台規模。傘下のダイハツ工業も現地の2工場を停止。21年3月期の生産台数は約23万台と、海外生産の5割弱を占めている。
さらに、ホンダはロックダウンの間、現地2工場での生産を停止。二輪車は30万台、四輪車は10万台の年産能力を持つ東南アジアの主要拠点の一つだとも伝えている。
足元では半導体不足にコロナの感染拡大、中長期的な課題としては「脱炭素」への取り組み強化などと、トヨタに限らず自動車各社の業績に大きな影響を与えかねない“緊急事態”はしばらく続きそうだ。ホンダ二輪マレーシア工場
2021年6月1日付
●エア・ドゥ、ソラシド統合合意、ブランドは継続、来年10月持ち株会社(読売・2面)
●経団連「脱炭素」強化、十倉体制きょう始動「50年、原発欠かさず」(読売・7面)
●トヨタ時価総額、一時30兆円超(読売・7面)
●としまえん、遊具に面影、跡地「練馬城跡公園」整備計画(読売・25面)
●米の自動車価格が急上昇、世界で半導体不足、影響長引く恐れ(朝日・6面)
●トラック燃料に廃食油など活用、伊藤忠、事業本格化(毎日・8面)
●トヨタ・ホンダ工場停止、マレーシア、東南ア感染足かせに(日経・1面)
●ソニーやスズキ、18社参画、DX・脱炭素ファンド、最大1000億円規模(日経・3面)
●欧州事業が黒字化、ブリヂストン今期、汎用タイヤ削減(日経・17面)
●仏当局、ゴーン被告聴取、レバノンでルノー資金不正疑惑(日経・39面)