先週発表した2021年3月期の決算で減収増益となったトヨタ自動車の株価が、東京市場で2015年3月24日に付けた上場来高値(8783円)を約6年2カ月ぶりに更新した。5月18日の終値は8819円だった。
トヨタの「上場来高値」の更新については、きょうの日経が「最高値トヨタ株、EV相場と溝」とのタイトルで取り上げているが、「株高につながったのは、新型コロナウイルス禍でも落ちなかったトヨタの収益力への期待だ」と指摘。
続けて「21年3月期の1台あたり純利益を計算するとトヨタは22万6千円。2年前と比べ4万8千円増えた。利幅が厚いSUVの『RAV4』や『ハリアー』の新型を投入し、世界で人気を集めた。高級ブランド『レクサス』も顕在で、得意とする原価改善も貢献した」などと分析している。
一方で、「世界の競合と20年からの値動きを比べると、上昇率は物足りない」とも。値動きの差の訳は将来の電動化戦略にあるとして、SMBC日興証券の木下寿英氏は「健全かどうかはさておき、EV化をアピールしたメーカーの株が上がる構図になっている」とのコメントを紹介している。
この日、上場来高値を更新したトヨタだったが、夜になってから、半導体不足の影響で国内の2工場3ラインでの生産を6月に停止すると発表。稼働停止になるのは全額出資子会社のトヨタ自動車東日本の岩手工場と宮城大衡工場で、売れ筋の『ヤリス』や『ヤリスクロス』、さらに『C-HR』の生産が影響を受けて、約2万台の減産になる見通しだという。
半導体不足が世界で深刻になるなか、トヨタは過去の苦い経験から調達先との深い絆で、必要な量を確保していた。今回の東北2工場の減産が半導体不足だけが原因なのかどうかはわからないが、先が見通せない現状では供給網の再構築が改めて求められそうだ。
2021年5月19日付
●日本軽金属不正検査、アルミ板、25年間、JIS取り消し(読売・7面)
●トヨタ2工場停止へ、来月7日から、半導体不足で(朝日・7面)
●HDP年5.1%減、1~3月期、昨年度は下げ拡大(毎日・1面)
●ステランティスと鴻海「つながる車」で新会社(産経・10面)
●大学就職率96%、採用抑制前年同期比2ポイント減(東京・7面)
●50年脱炭素IEA工程表、化石燃料へ新規投資停止、ガソリン新車35年販売ゼロ(日経・1面)
●半導体国内生産促す、成長戦略骨子案(日経・1面)
●クボタ、23年実用化、産業用ハイブリッドエンジン(日経・14面)
●最高値トヨタ株EV相場と溝、電動化、市場の評価交錯(日経・18面)