ジェイテクト、自動車用多板クラッチの摩擦制御技術で全国発明表彰を受賞

授賞式の様子
  • 授賞式の様子
  • 電子制御4WDカップリングの構造
  • 従来品および発明品の電磁クラッチ表面形状

ジェイテクトは6月13日、「自動車用多板クラッチの摩擦制御技術」で、令和元年度全国発明表彰にて「発明賞」を受賞したと発表した。

受賞した摩擦制御技術は、ジェイテクトの電子制御4WDカップリングの電磁クラッチに適用しているもの。通常走行ではカップリング内のクラッチの押し付けを行わず前輪駆動で走行し、雪道などで前輪がスリップしそうになる場合には、クラッチを押し付けることで、適切なトルクを後輪へ伝達できる。

電子制御4WDカップリングの電磁クラッチは潤滑油下で摺動するため、特に潤滑油の粘度が増加する低温域にて、クラッチを係合しない状況(2WD走行時)にて、引きずりトルクが増大するという課題がある。一方、クラッチを係合する場合(4WD走行時)も、同様に低温域で伝達トルクが増大。この温度環境によるトルク変化を改善することで、4WD性能を維持したまま、さらなる4WD乗用車の低燃費化の実現が期待できる。

今回受賞した「多板クラッチの摩擦制御技術」の発明は、電磁クラッチの表面形状に着目したもので、電磁クラッチのインナープレート表面にはクラウニングを付与し、アウタープレートでは微細溝ピッチを拡大。また、それらと合わせてクラッチ間に発生する潤滑油の動圧に適値を見出した。これによりクラッチ間隙間を最適に制御し、低温域でのトルク上昇抑制が可能となり、全温度域でのトルク精度を高めることで、走行安定性の向上と燃費改善を実現した。

発明協会が主催する全国発明表彰は、科学技術の向上と産業の発展を目的に、独創性に富む発明の完成者を表彰する制度。この発明技術が電子制御4WD自動車等の低燃費化や環境負荷低減に期待されることが認められ、今回の受賞となった。この発明による受賞は、平成29年度近畿地方発明表彰の「日本弁理士会会長賞および実施功績賞」に次いで2度目となる。

《纐纈敏也@DAYS》

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