JR東日本は5月20日、羽田空港アクセス線(仮称)の環境影響評価手続きに着手したと発表した。
同線は、羽田空港から東京都心・郊外へ直通する3方向の空港アクセス路線として計画されており、JR東日本が2014年に国の交通政策審議会で計画を明らかにした。2016年に国土交通省が発表した「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」では、「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」として位置づけられ、建設の方針が示されていた。
計画では、山手線の西側(新宿駅方面)へ直通する「西山手ルート」、山手線の東側(東京駅方面)へ直通する「東山手ルート」、東京臨海高速鉄道りんかい線(新木場駅方面)へ直通する「臨海部ルート」からなり、羽田空港から都心を通り埼玉県や千葉県方面へシームレスに至ることが企図されている。
今回、環境影響評価手続きに着手されたのは、休止中の東海道貨物線を改良する田町駅付近(東京都港区芝浦1丁目)~東京貨物ターミナル付近間約7.4kmの「東山手ルート」と、すべてのルートが合流する東京貨物ターミナル付近~羽田空港新駅(仮称、東京都大田区羽田空港3丁目)間約5.0kmの、いわゆる「アクセス新線」と呼ばれる新規建設区間。
手続きに必要な、事業内容や環境影響評価項目、調査・予測、評価手法などを記した「環境影響評価調査計画書」は5月15日に東京都へ提出されており、今後は5月30日から6月10日まで東京都庁や港・品川・大田区の各区役所の関係各所で縦覧されることになっている。
環境影響評価手続きは建設への第1段階で、これに約3年。その後の建設工事は約7年が見込まれており、開業は10年後の2029年夏と目されている。「東山手ルート」が開業すると、羽田空港~東京駅間は現行の東京モノレール経由より10分短縮した18分程度となる見込み。