南海電気鉄道は10月31日、台風21号の影響で運転を見合わせている南海本線樽井(大阪府泉南市)~尾崎(阪南市)間について、11月1日の初発から運転を再開すると発表した。当面は上り線を使用した単線運転になる。
南海電鉄や運輸安全委員会によると、南海本線は台風21号の影響で樽井~尾崎間の男里川が急速に増水。男里川橋りょう(約94m)の下り線の橋脚が傾き、橋桁中央部の線路が進行方向左側に曲がって沈み込んだ。10月22日夜、男里川橋りょうを通過中だった下り列車の運転士が、約50m手前で線路が曲がっていることを確認。すぐにブレーキをかけたが、列車は約270m行き過ぎて停止し、乗客2人が軽いけがをした。
一方、上り線の橋りょうは被害がなかったことから、南海電鉄は目視検査や衝撃振動試験を実施。さらに試運転を実施して安全性を確認したとし、上り線を使った単線運転で暫定的に再開することを決めた。
11月1日からは、難波発~和歌山市行きと和歌山市発~難波行きの普通列車(一部、朝・夕方以降に区間急行)がおおむね30分間隔で運行される。ダイヤは10月31日18時頃に発表される見込みだ。樽井~箱作間のバス代行輸送は終了するが、当面は平日朝に樽井発~泉佐野行きと箱作発~泉佐野行きのバス輸送が行われる。
他社線への振替輸送も引き続き実施される。南海電鉄は「(単線運転による再開後も)列車の本数が限られているため、通勤・通学の時間帯を中心に混雑が予想され、列車にご乗車できない可能性があります」とし、振替輸送の利用を呼びかけている。
下り線も含めた運転再開は約1カ月かかる見込み。南海電鉄は「早期再開に向け復旧工事を進めてまいります」としている。