【CareTEX2017】吉野家の試食に来場者殺到…新食感の牛丼で介護食市場に殴り込み

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次から次へと来場者が訪れていた吉野家のブース
  • 次から次へと来場者が訪れていた吉野家のブース
  • 試食として出されていた牛丼
  • 吉野家が2月に発売した「吉野家のやさしいごはん」

「CareTEX2017」には介護職を扱う企業も多く出展していたが、その中でも来場者に一番人気があったのは吉野家と言っていいだろう。試食もあったこともあり、次から次へと来場者が訪れていた。

そのブースはまるで店舗のようで、てっきり会場内に店を出し、お金を取って販売しているのかと思ったほど。試しにブース内の席に着くと、店舗のようにすぐに牛丼が運ばれてきた。トレイの上には吉野家の柄が描かれた小さな丼が2つとペットボトルのお茶。しかし、その牛丼は通常のものと違う。

「右の丼が牛丼の具を細かく刻んだもので、左の丼が牛丼の具をペースト状にしたものです。紅ショウガもペースト状にしてあります。どうぞお召し上がりください」と運んできた吉野家の女性は話し、説明書と料金表が書かれた申込用紙を置いていった。

食べてみると、確かに吉野家の味で、非常に食べやすい。なにしろほとんど噛まずに食べられるからだ。文字通り、新食感の牛丼と言った感じだ。

聞けば、今年2月から「吉野家のやさしいごはん」という名前で牛丼の具を業務用食品として販売を開始したという。「吉野家のやさしいごはんは、高齢の方、特に咀嚼や嚥下機能が低下されている方にも、吉野家の牛丼をいつまでも、おいしく、楽しく、召し上がっていただきたいという思いから発売した」とのことだ。

現在の介護食市場は農林水産省の資料によれば約1000億円。しかし、要介護者数などから試算される介護食のニーズは約2兆5000億円にも上るという。しかも、65歳以上の高齢者人口は現在の25%から今後さらに増える見通しで、2030年には日本の人口の40%近くが65歳以上になると言われている。単独世帯も同じような傾向で増加していく見込みだ。

そこに目をつけて、吉野家は今回の商品を出したわけだが、勝算もあるようだ。というのも、これから65歳以上になる人は、若いころに吉野家の牛丼を食べた経験がある人が多いからだ。そのため、懐かしがって食べてくれる人も多いはずというわけだ。

価格は地域によって異なるが、80gのもので5食入りが2280~3500円、10食入りが3830~5050円、20食入りが6930~8150円。吉野家では、主に介護施設を対象にした業務用商品として、年間700万食の販売を目標に掲げている。

周辺に出展している介護食を扱う既存の企業は、今回の吉野家の盛況ぶりを見て少し驚いていた。なかには、知名度のある吉野家の介護食参入に戦々恐々としている企業もあった。それだけに吉野家の今後の動向に目が離せなくなりそうだ。

《山田清志》

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