【カストロールの今 vol.3】研究所からガソリンスタンドまで…汚れに打ち勝つ新燃料はいかにして生まれたのか

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英国パンボーンのBP技術センター
  • 英国パンボーンのBP技術センター
  • パンボーンのBP技術センターで行われるテストの様子
  • BPサービスステーション
カストロールブランドのエンジンオイルをじはじめ、“燃料”を通じて、常に新価値を提案し続けるBP社。BPの技術専門家たちは、世界市場向けの新燃料の開発にどう取り組んでいるのか。BPが発行する自社メディア『BP Magazine』では、研究の初期段階からテストの最終ラウンドまでの5年間にわたり、新燃料の開発に取り組んで来た技術者たちを取材。燃料が実験室試験を経て世界中のガソリンスタンドのポンプから流れ出すまでにどのようなプロセスがあるのか。現場の声から解き明かして行く。


◆未来の車のトレンドに着目する



およそ10年前、BPの研究チームは、駐車場におけるエンジン技術が2016年までにどうなるか、そして、その結果として、どんな特徴をもった燃料製品が必要になるかについての調査を開始した。

この研究には、詳細なモデリングワークや、政府の法律、自動車メーカーや自動車工学業界からの情報も利用した。

配合製品技術研究マネージャー、レベッカ・イエーツは語る。「研究チームのスキルは、全ての情報のインプット、モデル化、そして可能性が高いシナリオの提案です。私たちが予測した鍵となるトレンドは、エンジンの小型化、エンジンブースト(つまりターボチャージ、そしてストップ・スタート・テクノロジーの利用)でした。今ではよく知られているものです」

ガソリン市場では、研究は直噴エンジンの出現も指摘した。現在、インジェクターの燃焼室内における環境は過酷であり、今まで以上に高圧・高温にさらされている。

レベッカ・イエーツは続けて、「私たちが、燃料噴射技術周辺の詳細についてもっとレベルを掘り下げて研究すると、この種のエンジン技術が、沈殿物や汚れに対する新たな課題をもたらすだろうということが分かってきました」と語る。

英国や米国の最高峰の大学と提携したBP国際先端材料センターの専門家との共同作業により、研究者たちは、このようなエンジンの沈殿物の形成を理解することを研究の重要課題のひとつと位置づけた。

「汚れの構造や組成を知るために高度な分析を行いました。エンジンに似せた条件下で、燃料噴射スプレーの顕微鏡画像により、沈殿物の形成につながる物質を特定しました。そして、リアルタイムの燃焼動画を見て、汚れのエンジン性能に与える影響がはっきりしました」

こう話すイエーツのチームは、英国パンボーンのBP技術センターを拠点としている。



◆クリーンにするために正しい原料を選ぶ



現代のエンジンにとって汚れが重大な問題であると認識したチームは、それに対処するための新たな燃料技術の創造に照準を合わせる。ガソリン製品開発に取り組む専門技術者ロバート・アランは、燃料成分の最適な配合を特定する作業について、こう説明する。

「ドイツのボーフムにある当社のテストセンターの仲間と共に、完璧な燃料を作るという任務のため、さまざまな成分を比較対照し、最適な製法に焦点を合わせました。そしてついに、エンジンをクリーンに保つだけでなく、汚れてしまったエンジンをクリーンにできる混合物を突き止めたのです」

では、ラボでは突破口となる画期的な瞬間があったのだろうか。「というより、瞬間の連続でした。ACTIVE技術(※)による新しい燃料の強みは、多様なエンジン技術、いろいろな燃料、異なる地域においても効率的に作用するという事実にあります」とアランは言う。

「実に説得力のある一連の結果を見て、自分たちの目の前で何かすごいことが起こっている!と感じました」

昨今の市場において、ガソリンエンジンは燃料メーカーに難題を突き付けている。というのは、従来のポート燃料システムと新しい直接噴射システムという、2つの異なる注入技術があるからである。

「当社の燃料はどちらのタイプのエンジンでも作動しなくてはなりません。そのため、私たちは、従来型の試験方法だけに頼るわけにはいきませんでした。なぜなら、業界標準のテストは従来技術向きですが、最新版には適さないからです。燃料の利点を実証するための新しいテストプログラムを開発する必要がありました」


◆ローリングロードでの数千時間の「運転」



過去5年間で、チームはACTIVE技術を駆使した燃料によるエンジンや車両のテストに5万時間以上を費やし、その走行距離は100万マイルすなわち160万kmに相当する。上級燃料技術者でエンジニアのスティーブン・メインは、軽自動車向けに新しいディーゼル製品の開発を指揮してきた。彼は、「もし、ひとつの処方のために特定のパフォーマンス属性を実証したいなら、それ専用のしっかりしたテスト方法を構築する必要があります」と話す。

「例えば、私たちは沈殿物を急速にクリーンアップする燃料の能力を実証するエンジンテストを開発し、その一方で、ラフ走行を防止する燃料の性能を示すテストも開発しました」



変化しているのはガソリンエンジン技術だけではない。ディーゼルエンジンの燃料噴射器もますます複雑になってきており、3000バールという圧力下で、瞬きの最大1000倍もの速度で動作している。エンジンに燃料を噴射している穴は徐々に狭まり、微量な沈殿物でさえ多大な影響を与えることになる。ACTIVE技術によるBPの最新ディーゼル燃料は、ガソリンをエンジンに入れただけで、こうした沈殿物に対処することが証明されている。

大型車両用ディーゼルエンジンの場合は、密室で行われるテストと、シャーシダイナモメータ上で行われるテストとがあり、チームは正確なパラメータの制御が可能だ。

ディーゼル製品開発の専門技術者、リチャード・ジョーンズは語る。「大型車なら、設定したサイクルで何時間でも駆動できます。最大エンジン44トンの車両で、都市部から高速道路まで、多彩な「道路」条件を設定します。クリーンアップアクション同様、ACTIVE技術によって注目に値する規模の燃費効果を示すことができました」


◆我が家のそばで給油を



新しい燃料が汚れを除去し、車の走行の能率を高め、滑らかな走行を助けることを証明したBPと独立試験施設が収集した膨大なデータセットは、英国やドイツのラボから世界中の家庭に製品を供給するという次の段階に移った。

各国の技術展開グループから石油ターミナル事業、マーケティングから国際小売チームに至るまで、BPに属する多くのチームが一丸となって課題に取り組んだ。



では、自分たちが開発に携わった製品が、地球上のさまざまな街角で今まさにエンジンを動かしている、というのはどんな気分だろう。

化学者で上級燃料技術者のレイチェル・トッドは「『私が開発に貢献しました』というのにはいろいろな意味があります。私たちは比較的小さなチームですが、一人ひとりが『私がそのテストを実施し、私がそのデータを分析しました。つまり、この製品が確かなものであることを確認したのは、私です』と自信を持っています」と話す。

「プロジェクトはジグソーパズルのような、ひとつ一つの事象の積み重ねです。そして、私たち全員にとって実にすばらしい道のりでした」

※ACTIVE技術の役割
BPの新燃料は活性分子を含んでおり、この分子がメインのエンジン部品の汚れを検知して自ら汚れに付着する性質を持っている。また、クリーンなエンジンの金属表面に付着して、汚れを形成させない保護層を作る。

BP Magazine(From lab to pump: how BP’s technologists created a new dirt-busting fuel)

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《レスポンス編集部》

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