矢野経済研究所は、パワー半導体の世界市場について調査し、その結果をまとめた。
調査は2015年9月から2016年1月にかけてパワー半導体メーカー、ウエハーメーカー、システムメーカーを対象に調査した。
調査結果によると、2014年のパワー半導体世界市場は堅調に拡大し、前年比11.3%増の159億3000万ドルだった。
2015年は、中国と欧州市場での産業機器向け需要の低迷、パソコンやTVなど、民生機器用電源の成長も鈍化し、新興メーカーの参入によるコスト競争などが影響し、パワー半導体世界市場規模は、同7.0%減の148億2000万ドルとなる見込み。
2016年後半から市場は回復基調となり、産業機器向けパワーモジュール、自動車向けダイオード、MOSFETが市場を牽引する。産業機器は新エネルギー、サーボモータ、UPS(無停電電源装置)向けのパワーモジュールの需要増が見込まれる。
自動車は、車両1台あたりに搭載されるダイオードとMOSFETの数が増加し、引き続き高い伸びを見込む。このため、パワー半導体の世界市場規模は、2020年に231億ドル、2025年に339億1000万ドルに達すると予測する。
パワー半導体の種類では、SiCはダイオードの採用が中心に進んでいるが、コスト面からSiCトランジスタの搭載は一部用途に限定されている。GaNトランジスタは、2016年から民生機器用電源を中心に市場が立ち上がる見込み。
このため、これらの次世代パワー半導体の本格的な普及は2020年以降になる可能性が高く、2025年の次世代パワー半導体の世界市場規模は31億3000万ドルになると予測する。