オーストラリアのマウント・パノラマ・サーキットで7日、「LIQUI MOLY バサースト12時間レース」が行われ59号車Tenko AutoSportsのマクラーレン『650S GT3』が優勝。千代勝正が乗り込んだ1号車日産『GT-R NISMO GT3』は惜しくも2位だった。
現地時間の午前5時45分。まだ夜が明ける前にスタートが切られたオーストラリア伝統の耐久レース。ディフェンディングチャンピオンの1号車に乗り込むリック・ケリー/千代勝正/フローリアン・ストラウスの3人は、予選で13番手と出遅れてしまったものの、序盤から一気に順位を取り戻し、スタートから1時間を経過した35周目に初めてトップに浮上する。
今回も序盤からアクシデントが相次ぎ、幾度にもわたってセーフティカーが導入される波乱の展開。トップ争いもピットストップなどのタイミングでめまぐるしく順位が入れ替わるレース。このレースを勝利した59号車マクラーレンも、突然コース上でストップしてしまうハプニングにも見舞われた。
そんな中、1号車日産は、千代が乗り込んだ残り2時間のところでトップに浮上。直後にセーフティカーが導入され後続との差がなくなってしまうが、千代が冷静に対応しトップを堅持していた。
しかし、残り50分を切ったところで1号車が給油のため最後のピットストップを行っている間に、後方から追い上げていた59号車マクラーレンが猛追し逆転。約10秒の差がついてしまうが、そこから59号車と1号車の手に汗握るマッチレースが展開された。
なんとか、トップとの差を縮めたい千代だったが周回遅れのマシンに引っかかるタイミングが悪くタイムロス。1秒縮めてはまた1秒引き離されるという我慢の周回が続いた。それでも、2連覇を全く諦めておらず、周回遅れのマシンが少なくなった残り10分で驚異的な追い上げを開始。
終盤はチームベストとなる2分02秒台のラップタイムを連発し、それまで13秒あった差をみるみる縮め、5.1秒差の状態でファイナルラップへ。ここで千代はさらに攻め込んだ走りを見せ、コース脇のウォールにマシンをこする勢いで周回。最後は59号車の背後まで迫ったが、わずかに1.2秒届かずチェッカーフラッグ。
2016年バサースト12時間の総合優勝はシェイン・バン・ジズバーゲン/アルバロ・パレンテ/ジョナサン・ウェブ組の59号車Tenko AutoSports。2位はケリー/千代/ストラウス組の1号車NISMO Athlete Global Team。3位にはスティーブン・ケニー/ガイ・スミス/マット/ベル組の10号車Bentley Team M Sportのベントレー『コンチネンタルGT3』が入った。
12時間の耐久レースでわずか1.2秒差という大激戦となった今年のバサースト12時間レース。連覇をかけて臨んだ千代だったが、終始光る走りは見せたものの、その夢は叶わなかった。