全国9工場の醸造責任者が、独自のコンセプトで作った「一番搾り」

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9つの「地元うまれの一番搾り」
  • 9つの「地元うまれの一番搾り」
  • 9つの「地元うまれの一番搾り」
  • キリンビール生産本部生産部の太田主幹
  • 3工場の醸造長(商品開発から醸造までを担当している醸造開発責任者)
  • 9つの「地元うまれの一番搾り」
  • キリン一番搾りガーデン Brewer's Spirit 東京店

 キリンビールは「キリン一番搾り生ビール」ブランドから、全国の9工場ごとに地域限定の「一番搾り」を19日に発売する。発売イベントが18日に渋谷のキリン一番搾りガーデン Brewer's Spirit 東京店で実施され、報道関係者が9種類を飲み比べた。

 この「一番搾り」は、全国9工場それぞれの醸造長(商品開発から醸造までを担当している醸造開発責任者)が、地域で暮らす消費者のために造った特別な「一番搾り」だ。「一番搾り麦汁」のみを使うという製法を遵守しつつ、各工場ごとに独自のコンセプトや味覚を開発、味の違いや個性を楽しめる地域密着型の商品として展開していく。

 9工場は北海道千歳、仙台、取手、横浜、名古屋、滋賀、神戸、岡山、福岡で、キリンビールの全工場。販売地域も工場所在道県を中心とするエリアとなる。

 キリンビール生産本部生産部の太田雄人主幹は、「キリンは人や社会のつながりを強化したい。お客様や社会の驚きや感動につながる価値を創造したい。まず工場の地元の人に喜んでもらって、地域を活性化したい」と、大局的な狙いを語る。

 近年、ビール市場は消費者の嗜好性の高まりにより、味の違いや個性を楽しめるビールへの飲用意向が高まっている。「ビールが多様化しているということは、楽しみ方が多様化しているということです。ビールの楽しみ方をひろめたい」と太田主幹は説明する。

 発売イベントでは3工場の醸造長が、それぞれ自らの「一番搾り」の商品特徴を説明した。

 「一番搾り 取手作り」の開発にあたって取手工場の谷川満醸造長はまず「茨城ってどんなところ?」と考えたという。そしてピーマンやレンコンの出荷量が都道府県別で1位であるように、食材が豊かであることに着目した。「アルコール度数は標準『一番搾り』の5.0%に対し5.5%、麦芽が多いので味わいが豊かだ。ホップは柑橘系の香りを用いました。そして味の根本となる酵母を変えるチャレンジをした。酵母を変えたのは取手のみだ」。

 「一番搾り 横浜作り」を開発した横浜工場の岡田義宗醸造長は「港町の潮風を表現した」と語る。洋食、家系ラーメン、シュウマイといった、名物の濃いめの味に負けない、爽やかな「一番搾り」をめざしたと言う。「アルコールは6%まで高め、カラメル麦を使って色を濃くして甘みをつけた。いっぽうでホップにはフローラルな香りのものを用いた」。

 岡山工場の家村友也醸造長は「一番搾り 岡山作り」について、「上品でキリットしたものをめざした」という。岡山県は“晴れの国”と言われるように「瀬戸内の青空がきれい。そういった豊かな自然の食材が引き立つ味。たとえば白身魚は脂がのっているのだけど淡白。それにあう『一番搾り』は、味わいはあるが、飲み込んだときにはすっと切れて、後にはひかないようにした。9種類の中で一番すっきりかも」と説明する。

 このように地元の食材に合わせ、原材料についても地元産の麦、米(アルコール)、ホップに限定する例が多い。仙台のササニシキや、酒どころ神戸の山田錦など、日本酒で定評を得ている米を使って旨味を演出している例もある。岡山も、日本酒の原料として“幻の米”と呼ばれ、雄町米を使っている。雄町米は岡山産が9割を占める。福岡は、九州産の麦をブレンドしたという。

 北海道が「夏の大自然」、滋賀が「母なる琵琶湖のめぐみ」というように、イメージの味覚化を図ったものもある。海外の異文化に触れた港町の神戸や横浜は、いずれも「新旧の融合」を謳う。「これが、名古屋のための『一番搾り』です」と自負する名古屋は、名古屋の料理に合わせて色も味も濃い。味の強い食材に対するアプローチを、横浜、岡山と比べるのも興味深い。太田主幹は今回の企画で、工場の技術の向上も期待している。

 同じく太田主幹によると、発売にさきがけて始まった「9つの一番搾り」プレゼントキャンペーンは好調だという。一番搾りガーデンでも19日から提供されるが、9種類が同時にそろうのは今回のみで、3種類ずつの提供になる予定。9つのコップを並べて飲み比べると、確かに違う。食の豊かさを実感できる9種類だ。

各地のオリジナル「一番搾り」を飲み比べ……違いに酔った

《高木啓@RBB TODAY》

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