災害運休区間、信楽再開と大糸不通で4km減…11月末

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11月末時点の災害運休区間。信楽高原鐵道が1年2カ月ぶりに再開した一方、大糸線が一部不通となった。
  • 11月末時点の災害運休区間。信楽高原鐵道が1年2カ月ぶりに再開した一方、大糸線が一部不通となった。

自然災害による鉄道路線の運休距離は、11月末時点で3社10線11区間の計302.9km。信楽高原鐵道が予定通り全線の運転を再開した一方、長野県神城断層地震の影響で大糸線の一部区間が不通となった。この結果、運休距離は10月末に比べ4.3kmの減少にとどまった。

■JR東日本 山田線 宮古~釜石(岩手県) 55.4km
2011年3月に発生した東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。代行輸送は行われていないが、岩手県北バスと岩手県交通の路線バスによる振替輸送が行われている。

当初はバス高速輸送システム(BRT)の導入による再開が考えられたが、鉄道による早期再開を求める沿線自治体が難色を示していた。JR東日本は今年1月、三陸鉄道への運行移管案を提示。岩手県や沿線の自治体も8月には移管案を「有力な選択肢」と位置づけて意思統一を図った。

さらにJR東日本は11月、移管に伴い負担する一時金を大幅に増額するほか、車両の無償譲渡や軌道強化などの支援策拡大を提示。三陸鉄道への移管の可能性が高まっている。

■JR東日本 大船渡線 気仙沼~盛(宮城・岩手県) 43.7km
2011年3月に発生した東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。2013年3月から鉄道復旧までの暫定策としてBRTを導入し、線路敷地の一部を活用したバス専用道を整備した。

現在のBRT運行区間は気仙沼~盛間(長部経由)と鹿折唐桑~上鹿折間、陸前矢作~陸前高田間。このうち竹駒駅付近0.5kmと小友駅付近~大船渡~盛間13.2kmに専用道が整備された。ただし大船渡駅付近は土地区画整理事業に伴い、8月5日から一般道経由に変更されている。8月18日からは気仙沼~鹿折唐桑間の専用道化工事に着手した。

■JR東日本 気仙沼線 柳津~気仙沼(宮城県) 55.3km
2011年3月に発生した東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。2012年8月から鉄道復旧までの暫定策としてBRTを導入し、線路敷地の一部を活用したバス専用道を整備した。

BRTは気仙沼線の不通区間と同じ柳津~気仙沼間で運行されており、陸前戸倉~志津川間のうち陸前戸倉寄りの3.5km、志津川~清水浜間の中間部3.8km、歌津~陸前小泉間のうち陸前小泉寄りを除く5.1km、本吉~小金沢間のうち本吉寄りの2.0km、陸前階上~最知間とその前後の5.0km、不動の沢~気仙沼間3.3kmは専用道を走行する。ただし志津川~清水浜間は早朝や夜間の一部を除いて専用道を通らず、一般道区間に設置したベイサイドアリーナ駅を経由する。

■JR東日本 石巻線 浦宿~女川(宮城県) 2.5km
2011年3月に発生した東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。浦宿~女川間でバスによる代行輸送が行われている。2015年春の再開を目指して復旧工事が行われており、終点の女川駅は内陸側に移設される。

■JR東日本 仙石線 高城町~陸前小野(宮城県) 11.7km
2011年3月に発生した東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。代行バスは不通区間の外側を含む松島海岸~矢本間で運行されており、列車と代行バスの乗換地点も松島海岸・矢本両駅となっている。

津波対策としてルートを内陸側に移設する工事が現在進められており、2015年6月までに再開する予定。また、東北本線塩釜~松島間と仙石線松島海岸~高城町間の線路が隣接する部分に新しい接続線(仙石線・東北本線接続線)を整備する計画があり、高城町~陸前小野間の再開と同時に開業する予定だ。これにより、仙台~石巻間を東北本線~接続線~石巻線経由で結ぶ列車が「仙石東北ライン」の愛称で運行される。

■JR東日本 常磐線 竜田~原ノ町(福島県) 46.0km
2011年3月に発生した東日本大震災による福島第一原子力発電所事故の影響で運休中。バスによる代行輸送や振替輸送は行われていない。途中の夜ノ森・大野・双葉各駅は帰還困難区域内で、被害調査も実質不可能な状態が続いている。これに対して富岡・浪江・桃内・小高・磐城太田各駅は避難指示解除準備区域に移行している。

並行する国道6号は9月15日から、自動車で通過する場合に限定して通行規制が解除された。これを受けてJR東日本は、2015年2月から代行バスを1日2往復運行する方向で調整を進めている。

■JR東日本 常磐線 相馬~浜吉田(福島・宮城県) 22.6km
2011年3月に発生した東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。バスによる代行輸送は不通区間より広い相馬~亘理間で行われており、宮城方の列車とバスの乗換地点も浜吉田駅ではなく亘理駅となっている。

ルートを内陸側に移設した上で、2017年春にも列車の運行を再開する予定。今年5月から線路の工事に着手している。

■JR東日本 只見線 会津川口~只見(福島県) 27.6km
2011年7月の豪雨で橋桁が流失するなどの被害。バスによる代行輸送が行われている。この区間はもともと利用者が極度に少なく、JR東日本は11月末時点で復旧の可否を明らかにしていない。福島県と沿線自治体はJR東日本に対し、復旧工事費の約4分の1を負担する提案を行っている。

■JR東日本 大糸線 白馬~南小谷(長野県) 10.4km
11月22日に発生した長野県神城断層地震の影響で、土砂流入などの被害が発生。バスによる代行輸送が行われている。12月7日に運転を再開する見込み。

■大井川鐵道 井川線 接岨峡温泉~井川(静岡県) 10.0km
大雨の影響で土砂崩れが発生し、9月2日から末端側の接岨峡温泉~井川間のみ運行を見合わせている。復旧には相当な時間がかかる模様。

■JR東海 名松線 家城~伊勢奥津(三重県) 17.7km
2009年10月の台風18号により橋台の流失や土砂の流入などが発生。バスによる代行輸送が行われている。JR東海は当初、鉄道を廃止する方針を打ち出していたが、関係自治体が鉄道施設周辺の治山事業などを実施することを条件に復旧の方針に転換した。2015年度内の再開が予定されている。

◎(再開)信楽高原鐵道 信楽線 貴生川~信楽(滋賀県) 14.7km
2013年9月の台風18号による大雨で橋桁が一部流失し、全区間が運休に。11月29日から1年2カ月ぶりに運転を再開した。

《草町義和》

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