ホンダ伊東社長、度重なるリコール問題に初めて公の場でコメント

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ホンダ 伊東孝紳 社長
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ホンダの伊東孝紳社長は11月10日に都内で開いた新型『レジェンド』発表会で、一連のリコール問題について初めて公の場で陳謝するとともに、リコールが複数回にわたった経緯などを説明した。

伊東社長はまず「『フィット』に複数回のリコールでお客様そして関係者にいろいろご迷惑をおかけしたことを、この場借りお詫びをしたい」と陳謝した上で、「ひとつの商品で複数回にわたるリコールをしてしまったことは、まったく我々としては猛省する」と述べた。

リコールに関する伊東社長の発言は以下の通り。

今回、私が第12次中期経営計画で「良いものをお客様に提供したい」と言った中で、フィット、『ヴェゼル』、それをベースにしたセダンシリーズは核となる商品。そして技術の方向性としてはハイブリッドを中心として、格段に進化した車をお客様にお届けしたいということで開発を重ねてきた。もともとフィットのハイブリッド技術は、我々が考えても、かなりチャレンジングな高度なテーマを適用している。

従来我々が提案してきたハイブリッドは、エンジンが主で、モーターがそれをサポートするシステムだった。これは従来の内燃機関のハードウェアをベースとして、その延長線上で描かれるハイブリッドシステム。従って、これは内燃機関がベースなので、非常に車としては内燃機関をベースとした安定した走りの上にモーターを足したもの。逆にいうとモーターがあることで、内燃機関の効率を下げてしまう反面も持っていた。

今回のフィット(ハイブリッド)は、内燃機関は内燃機関、モ-ターはモーター(として独立して機能し)、そしてそのモーターをどれだけ使い切って、車としての燃費効率、運転の楽しさを引き出せるかという意味でいうと、これはホンダにとってもちろんチャレンジングだったが、私がみる限りは他社もあまり、まだやったことがない技術領域ではなかったかと思っている。

ドライビングシーンによってはモーターだけで、ないしは内燃機関だけで(走行し)、それをいろいろな状況の中で細かく制御して、各々の持つ物理的効率を最大限に引き出すという、これは逆にどういうことかというと、それを車としてどれだけスムーズに制御するか、これが開発のキーだった。

今、車というのはだいたい電気系の制御によって各々の機能が調和するように制御ロジックを組んでやっているわけだが、今回反省するのは、我々が車を開発する際に公道で実験するというのは絶対ありえない話なので、我々の持てる範囲で、プルービンググラウンドやシミュレーション技術の中で、最大限お客様の使い勝手を考えながら、制御をどんどんレベルアップするという開発になるが、しかしながら残念なことに世の中に出して、やはり使い勝手の中で、「ちょっとこれはおかしいね」というところが出てしまった。

それを一所懸命調査し、そしてその修正をするという活動にいろいろ時間がかかってしまった。だいぶ皆様にご心配をかけてしまった。同様の事象はレジェンドや、ほかの開発中のものにもあるのではないかということで、かなり今の開発の中身、そして開発のプロセスを精査して、当初予定していた商品の発表時期をだいぶずらして、これも関係者の皆様には多大なるご迷惑をおかけしたが、その中身の検証に工数、時間を費やした。

今回の新型レジェンドにおいて、今日めでたく発表の時期にこれたということは、大変我々としてもうれしいが、市場(への投入)には若干時間を頂くということで、1月22日に発売開始となる。最後の、日本独自のレジェンドにまつわるものを詰めて、完全なものをお客様に渡すという活動の表れとご理解頂けると良いと思う。

開発期間の短縮、これは製造業として永遠の命題ではあるが、開発期間の短縮のために我々は活動しているわけではない。良いものをお客様にお届けするということを大前提として、開発期間というものをもう一度見直してみようという活動も今おこなっている。

コスト削減、これも製造業としては重要なことだが、これもコスト削減が先に立つ話ではなくて、お客様に良いものをどれだけリーズナブルにお手渡しできるかという活動の中で十分に吟味して適用するものであるという考え方を徹底して、今開発現場と話し合いをしている最中。

これから『S660』や『NSX』を来年上梓する予定。日本の専用車種としても複数来年投入する。我々としても一所懸命商品を磨き上げて頑張っているところ、皆様も是非ご期待頂きたい。

《小松哲也》

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