【人とくるまのテクノロジー14】英国リカルド社が巨大な KERS を展示

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リカルド社の運動エネルギー回生装置TorqStor
  • リカルド社の運動エネルギー回生装置TorqStor
  • 内部には樹脂で覆われた金属製のローターが組み込まれている
  • 動力の入出力はスプラインシャフトによって行われ、電磁カップリングによって断続を制御する

F1マシンには完全に普及した感のあるKERS。運動エネルギー回生装置であり、今シーズンは排気ガスなどの熱エネルギーも回生するERSに発展しているが、「人とくるまのテクノロジー2014」で巨大なKERSを見つけた。

これは英国でテクノロジー・コンサルティングを行うリカルド社が展示していたもので、ケーシングを透明な樹脂で成型して内部構造が良く見えるようにしてくれていた。TorqStorと名付けられたシステムは、パワーショベルに搭載することを想定したもので、乗用車のトランスミッションよりも大きい。

内部には大きなフライホイールがあり、高速回転による空気抵抗も無視できないことから、内部は真空に保たれていて、動力の断続には磁力カップリングを使うと言う。

パワーショベルの場合、アームを下げる時には油圧シリンダーから油圧を抜くことから、この油圧を利用してフライホイールを回し、アームを上げる時のポンプ駆動にフライホイールの動力で補助するように使うそうだ。これにより10%の燃費削減が見込めるとか。現在までにバスや建設機械に搭載して実証実験を行い、高いエネルギー効率を確認しているらしい。

フォークリフトやパワーショベルなどは乗用車と違って往復運動をする機構が多い。そのためエネルギー回生装置を導入しやすい部分がある。ハイブリッド車とは異なる直接的なエネルギー回生も、今後進んでいきそうな分野だと感じさせるデバイスであった。

《高根英幸》

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