ロケット打ち上げ価格を100分の1に…スペースX、完全再使用ロケットを3月実証へ

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イーロン・マスクCEOが公表した、ファルコン9ロケットに取り付けた着陸脚
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スペースX社は、3月16日に予定しているドラゴン補給船運用3号機による国際宇宙ステーションへの物資補給の際、ファルコン9ロケット第1段でのロケット再使用実証試験を行う。イーロン・マスクCEOが着陸脚と呼ばれる部品を取り付けた状態の写真を公開した。

現在の衛星打ち上げロケットは基本的に使い捨てとなっているが、宇宙輸送のコストを低減する再使用ロケットの研究開発は各国で行われている。日本でも宇宙科学研究所(当時、現JAXA)が「RVT」と呼ばれる垂直離着陸可能な再使用ロケットの実験を2003年まで行った実績がある。また、現在は1機あたり打ち上げ費用が2.5億円から4億円かかる観測ロケットを再使用化し、高度120キロメートル以上まで100キログラムの観測機器を打ち上げる「再使用観測ロケット」の構想もある。年間10回以上、100回以上の再使用回数を目標とし、打ち上げコストを1回当たり2~3000万円まで下げることが目標だ。

現状では、まだ実用化された再使用ロケットはないものの、スペースX社は2011年に同社の主力ロケット「ファルコン9」の完全再使用ロケット構想を発表している。4本の脚を備えた「グラスホッパー」と呼ばれる試験用ロケットで垂直離着陸の試験を行ってきた。再使用型ファルコン9構想発表時、イーロン・マスクCEOは完全再使用の実現により、ロケット打ち上げ価格は現状の100分の1になると述べている。

3月16日にスペースX社は、国際宇宙ステーション補給船「シグナス」運用第3号機の打ち上げを行う。今回、このシグナス補給船を打ち上げるファルコン9 v.1.1ロケットに着陸脚と呼ばれる長さ1.8メートルほどの部品を4基取り付け、ロケット第1段の回収と再使用に向けた実証実験を行う予定だ。着陸脚は折りたたまれた状態から、ロケット第1段切り離し後に圧縮ヘリウムガスで展開する。第1段のマーリン1Dエンジンを再点火して減速しながら降下するという。ロケット第1段は、フロリダ州ケープカナベラル空軍基地からの打ち上げから数時間後に大西洋上で回収を目指す。最終的な目標は陸上への垂直着陸による回収だが、「超音速から亜音速への精密な制御技術がまだ開発途上のため」今回は着水試験を行うとイーロン・マスクCEOは自身のツイッターでコメントしている。

回収したロケット第1段の補修点検、再使用などが可能になるのか、また今後はどのような段階を経て完全再使用ロケットを実現するのか、詳細についてはまだ判明していない。


《秋山 文野》

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