【VW ゴルフ GTI 試乗】トルクの大幅アップでスポーツフィールが向上…松下宏

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VW『ゴルフ』のスポーツモデルとして定着しているGTIが最新のゴルフVIIも設定された。外観デザインはゴルフそのものだが、ハニカムグリルの左右いっぱいに赤いストライプを入れ、赤いブレーキキャリパー採用するなど、GTIのお約束とも言うべき要素を取り入れている。

インテリアも赤と白のラインが交差するチェックシート地や、赤ステッチの3本スポーク本革巻きステアリングホイール&シフトノブなど、GTIの伝統ともいえる仕様が採用された。

搭載エンジンは直列4気筒2.0リットルのDOHC+インタークーラー付きターボ仕様で、162kW/350Nmのパワー&トルクを発生し、6速DSGと組み合わされる。

従来のモデルに比べるとパワーは7kWの向上だが、トルクは70Nmも向上していて、しかもこの最大トルクを1500回転から4000回転という幅広い回転域で発生する。格段にトルクフルなエンジンになると同時に、燃費が2割以上も向上したのが注目される。

標準車に搭載される1.4リットルや1.2リットルのTSIでもゴルフのボディに見合った実力なのに、GTIは大幅に動力性能が向上したエンジンを搭載するから、余裕十分の走りが得られるのは当然のこと。

このエンジンの良さは絶対的なパワーやトルクの数値よりも、その出方にある。荒々しさを感じさせることなく、洗練された感じでとても力強い動力性能を発揮するからだ。

アクセルを軽く踏み込むだけで十分に速いし、湿式の6速DSGの変速フィールも好感が持てる。それがますます大人のスポーツモデルといった印象を与えている。

シャシー性能も進化した。プログレッシブ・ステアリングと呼ぶ新しいステアリングを採用したのがそのひとつ。ハンドルを切り込むに連れてギア比がクイックになるもので、タイトなコーナーをぐいぐい曲がっていく感じになる。

コーナリング性能の高さにはXDSと呼ぶ電子制御式のディファレンシャルロックも関係していて、コーナリング時に内側のタイヤのグリップ不足を検知すると、瞬間的に軽くブレーキをかけて内輪の空転を防ぐ仕組みだ。

ジムカーナコースのようにパイロンを立てた特設コースで試乗したら、普通ならアンダーステアになって膨らんでゆきそうなタイトターンでも、思った通りのラインをそのままトレースしていく感じになる。知らないうちに運転がうまくなったかと錯覚するような走りだ。

ゴルフ GTIには上級仕様の追突軽減ブレーキやプッシュ式のエンジンスターターなど、ひとクラス上の仕様が用意され、価格はハイラインに対して70万円ほど高い369万円の設定だ。

性能と装備の差を考えたら、70万円の価格差は十分に納得できる。DCC(電子制御サスペンション)やカーナビなどのオプションを装着すると400万円級のクルマになるが、走り志向のユーザーを中心にけっこう良く売れるグレードになると思う。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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