「はやぶさ」が観測した小惑星イトカワ 二つの小惑星が合体か くびれの両側で密度の違い

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小惑星イトカワ密度の違い
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  • チリ・ラシヤ天文台「新技術望遠鏡」
2005年、小惑星探査機「はやぶさ」が接近して詳細な観測を行った小惑星イトカワは、二つの小天体が合体して形成された可能性がある、とイギリス・ケント大学の研究者らが発表した。独特のくびれの両側で、岩石の密度が大きく異なるという。

イギリス・ケント大学ステファン・ローリー博士のチームによる論文「The Internal Structure of Asteroid (25143) Itokawaas Revealed by Detection of YORP Spin-up」は、Astronomy & Astrophysicsに発表された。チームは、2001年から2003年にわたってヨーロッパ南天天文台のひとつ、チリのラシヤ天文台にある「新技術望遠鏡(NTT)」の観測写真を元に、小惑星の自転にともなう輝度の変化を記録した。

記録を分析した結果、イトカワの自転速度は1年に0.045秒とわずかずつ速くなっていたことがわかった。しかしこれは、「YORP効果」と呼ばれる、太陽光が小天体の回転に与える影響から従来予測された結果とは大きく異なっている。「ヤルコフスキー・オキーフ・ラジエフスキー・パダック効果」の頭文字をとった「YORP(ヨープ)効果」では、太陽光が小惑星の表面にあたる力、光が当たった表面からの熱の放射が合わさり、回転する力がうまれるとされている。小惑星探査機「はやぶさ」が2005年に小惑星イトカワに接近し、その形状を精密に観測した形状モデルと合わせて考えると、この非常に小さい回転力が長年積み重なることでイトカワの自転周期は遅くなると考えられていた。

イトカワのように不規則な形の天体の場合、予測通りにYORP効果が働かない理由は、落花生状にくびれた小惑星のそれぞれの部分で密度が異なると考えられた。論文では、イトカワの重心は長軸方向に最大21メートルずれた構造であるとされている。密度は、画像では赤く表示されている小さい方のかたまりで1立方センチメートルあたり2.85グラム、大きい方のかたまりは1立方センチメートルあたり1.75グラムだという。このことから、小惑星イトカワは、大きな天体がばらばらになってできた二つの小天体がぶつかり合い、一体化して形成されたことが考えられる。

ローリー博士は、「小惑星イトカワは非常にバリエーションに富む構造をしていることがわかりました。小惑星の内部がどのようになっているのか初めて明らかになり、太陽系の岩石質の天体の解明は大きく進展します」としている。また、二つの小惑星が連星となっている二重小惑星の形成モデル解明される手がかりになると期待されている。
《秋山 文野》

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