JAXAの若田宇宙飛行士、ISS長期滞在に向けた訓練を継続中

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第38/39次長期滞在の訓練の一環として行われた、コロンバスでのモジュール実験運用。2012年8月の訓練の様子。
  • 第38/39次長期滞在の訓練の一環として行われた、コロンバスでのモジュール実験運用。2012年8月の訓練の様子。
  • ソユーズ宇宙船の最終試験に臨む若田宇宙飛行士らバックアップクルー。
  • ロシアでの雪中サバイバル訓練。2012年2月に撮影されたもの。ケガ人役のミハイル・チューリン宇宙飛行士を若田宇宙飛行士らが牽引しているところだ。
  • こちらは2013年3月に撮影された、NASAジョンソン宇宙センターでの様子。NASAが開発したロボット「Robonaut(ロボノート)2」の訓練を受けているところ。
  • ISS全景。若田宇宙飛行士はここの責任を預かることになる。
  • ISSの日本実験棟「きぼう」。

JAXAは5月22日、同機関に所属する日本人宇宙飛行士たちの4月の活動レポートを公開した。まずは若田光一宇宙飛行士から報告しよう。

若田宇宙飛行士は、国際宇宙ステーション(ISS)の2013年末から約6か月間にわたって第38次/第39次長期滞在クルーとしての活動が発表されている。第38次長期滞在は約4か月間が予定されており、フライトエンジニアとしてISSの運用、宇宙環境を利用した科学実験、「きぼう」日本実験棟を含むISS各施設のシステム運用を実施する計画だ。

それに続く形の第39次長期滞在は約2か月間の予定。上記任務に加え、日本人初の「ISSコマンダー」を務めることが決定しており、現在、各所から大いに期待されている。

若田宇宙飛行士の4月はISS長期滞在に向けた訓練が続けられており、まず9日から11日にかけて、独国にある欧州宇宙機関(ESA)の欧州宇宙飛行士センター(European Astronaut Centre:EAC)を訪問。

同センターにおいて、長期滞在を共にするNASAのリチャード・マストラキオ宇宙飛行士と一緒に、欧州実験棟「コロンバス」と欧州補給機(Automated Transfer Vehicle:ATV)の運用に関わる訓練を実施した。

訓練内容だが、まずコロンバスについては、システム機器と実験機器の使用方法および交換方法を確認。ATVについては、打上げから役目を終えて大気圏再突入するまでのミッションの流れや機体の概要の確認が行われたほか、ISSに結合しているATVで火災や急減圧などの緊急事態が発生した場合の対処方法や、ATVとISS間の物資の移送に関する訓練が行われた。

そして4月下旬からは、ロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センター(Gagarin Cosmonaut Training Center:GCTC)へ移動。「ソユーズTMA-09M宇宙船(35S)」に搭乗するクルーの飛行前最終訓練にバックアップクルーとして参加し、ISSのロシアモジュールとソユーズ宇宙船の集中的な訓練を実施した。

なお、訓練の総仕上げとしての最終試験が4月25日から始まり、35Sのプライムクルーと共に、若田宇宙飛行士らバックアップクルーも最終試験に臨んだ。

試験は、プライムクルーとバックアップクルーに分かれてシミュレータを使用して実施された。ソユーズ宇宙船が打上げられてからISSにドッキングするまでの間の運用と、ISS滞在中のロシアモジュールの運用を想定し、さまざまなトラブルに対処しながら運用を進める技量が問われるという内容だ。

ソユーズ宇宙船が打上げられてから約6時間後(地球4周回後)にISSにドッキングする運用シナリオにおいては、地上のミッションコントロールと通信するための機器の故障や、船内の空気を浄化する機器の故障などに対処し、かつISSへのドッキングは、マニュアル操縦で安全に実行する能力が試された。ISS滞在中のロシアモジュールでの作業を想定した試験は8時間以上に渡って実施され、急減圧事故の発生など、異常事態、緊急事態への対応力が試されたとする。

シミュレーションの結果、プライムクルー、バックアップクルーともに試験に合格し、ソユーズTMA-09M宇宙船に搭乗するクルーとして正式に承認された。35Sクルーが搭乗するソユーズTMA-09M宇宙船は、日本時間の5月29日に打上げられる予定だ。

《デイビー日高》

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