JAXA宇宙科学研究所、大マゼラン雲の赤外線天体のカタログを公開

宇宙 科学

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙科学研究所は1月11日、赤外線天文衛星「あかり」の観測から作成した大マゼラン雲の赤外線天体カタログを全世界に向けて公開した。

今回公開したのは、5種類の赤外線波長で観測した総計66万0286個の赤外線天体を含む「点光源カタログ」と、そのうちの1757天体について、より詳しく分光観測を行った「スペクトルカタログ」の2種類。

点光源カタログは、大マゼラン雲のカタログとして最大規模で、スペクトルカタログは世界初のデータとなる。これら2つのデータは、大マゼラン雲中の天体を正確に分類し、生まれたばかりの星や、進化した星の研究を大きく推進させる重要なデータとなる。

2006年2月に打ち上げられた日本初の赤外線天文衛星「あかり」は、2007年8月までに全天をくまなく観測する「全天サーベイ」を実施した。同時に「あかり」は、数種類の領域を集中的に観測する「指向観測サーベイ」も行った。

その一つ、大マゼラン雲の近・中間赤外線サーベイについては、これまでにもサーベイ初期成果、超新星残骸の研究などの成果として公表してきた。

今回は、この大マゼラン雲サーベイプロジェクトの集大成となる、大マゼラン雲の赤外線天体カタログとスペクトルカタログを世界中の研究者に向けて公開したもの。

点光源カタログはアメリカのスピッツァー宇宙望遠鏡によるカタログに匹敵する規模の天体を含み、特に波長1万115マイクロメートルのデータは、「あかり」が提供する世界初のデータ。進化した星から物質の供給を研究するのに重要な情報となる。

また、スペクトルカタログは、この波長帯では世界初のデータで、天体中の分子ガスや、氷などの固体微粒子に関する情報を得ることが可能で、大マゼラン雲中の天体の正確な分類を向上させることができる。

このカタログを元にした詳細な研究により、生まれたての星の周りに存在する氷の性質が、銀河系とは異なることが明らかになっている。氷は惑星の原材料の一部で、惑星が生成する上で重要な役割を果たしていると考えられている。「あかり」カタログは、銀河系以外の銀河で、惑星系形成の研究を進展させるのに役立つ。

生まれたての星を、無数にある通常の星の中から選び出すことは困難。「あかり」の3マイクロメートルのデータとスペクトルデータによって、正確な分類が可能となるため、星形成の研究にも強力な道具となる。一方で、宇宙空間に物質を放出している進化した星についても、このカタログを用いることで放出量や進化段階を詳細に議論することができる。
《レスポンス編集部》

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