富士通テンは、グループ会社の富士通テンテクノセプタと共同で、カーナビゲーションシステムの前面パネルの塗装工程が不要となる樹脂成形技術を開発したと発表した。
カーナビなどに組み込まれる樹脂製のパネルは、従来、意匠性を得るための色や光沢の確保と、傷に対するパネル表面を保護するため、塗装していた。同社では、塗装工程で使用される環境負荷物質の低減や、塗装・乾燥工程の省エネ化のため、塗装を行わなくても光沢が実現できる成形技術の開発を進めてきた。
カーナビ商品の前面パネルには、ピアノのような黒い光沢のある鏡面の質感が必要となる。しかし、これを実現するための従来の成形技術では、表面の傷と樹脂成形時、金型へ高温で充填された樹脂が合流する境目に発生するウエルドラインによって、意匠性を損なうことが課題だった。
ウエルドラインは、金型を高温に保つことなどで発生を抑制できる。同社では今回、「材料」「金型構造」「成形技術」の組み合わせによって、金型に高コストとなるヒータを設けず、ウエルドラインの発生を抑制、光沢のある樹脂表面を塗装工程無しに成形のみで実現する技術を確立した。
従来、塗装工程で使用していた塗装溶剤の低減に加え、塗装や乾燥に必要なエネルギー消費が低減でき、地球環境への負荷低減が図れる。
今回開発した技術はECLIPSEの2012年夏モデル「ULTRA AVN」に採用されているほか、今後投入するカーナビにも順次、採用していく。