命がけで越境『闇の列車、光の旅』シンポジウム

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向かって左から石井宏明氏、キャリー・ジョージ・フクナガ氏、シルビア・リディア・ゴンザレス氏
  • 向かって左から石井宏明氏、キャリー・ジョージ・フクナガ氏、シルビア・リディア・ゴンザレス氏
  • キャリー・ジョージ・フクナガ氏
  • 映画『闇の列車、光の旅』(C)2008 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

2010年初夏、TOHOシネマズシャンテほか全国で順次公開される映画『闇の列車、光の旅』のキャリー・ジョージ・フクナガ監督の来日を記念し、「日本における移民・難民問題を考えるシンポジウム」(10日)が開催された。

登壇者はキャリー・ジョージ・フクナガ監督、NPO法人難民支援協会事務局長代行の石井宏明氏、ジャーナリストのシルビア・リディア・ゴンザレス氏の3人。

石井氏は、移民について「母国での迫害から逃れて他国へ渡る難民よりも定義が難しい」としたうえで、「イチローや松井だって『より良い生活』や『実力を発揮できる場所』を目指して渡米したが、移民という言葉の定義に基づいて考えれば、彼らも移民と言っていいかもしれない。アメリカの移民数は年間88万人。それに対して日本は年間40 - 50人。日本は長く難民・移民に対して冷たい国だったが、こうした状況とアメリカとの違いを考え、なんとかしなければならない課題でもある」と語った。

また、フクナガ氏は「列車の屋根に700人もの人が乗ってホンジュラスからメキシコを経由し2つの国境を越えてアメリカを目指す移民たちがいるという事実を知った。実際にギャングら40人以上に会い、2つの刑務所にも行った。移民たちと行動をともにし列車にも同乗した。警察への賄賂や暴力団の収入源などさまざまなデータを集め映画にした」と振り返った。

映画『闇の列車、光の旅』では、列車やクルマに“便乗”して命がけの越境を試みる人々がリアルに描かれている。貧困から抜け出しより良い生活を求めて旅立つ少女と、ギャングという組織の中でしか自分を守ることができない少年が織り成すロードムービーだ。

「危険を冒してまで国境を越えようとする人たちの、ある連帯感や忍耐力、したたかさ、そして希望を失わず闘い続ける姿を見て、我々も一度立ち止まって再考することが必要だ」(フクナガ氏)

国内では、成田空港に到着した米国発デルタ航空ボーイング777-200型機の主脚格納部に、黒人男性の遺体が発見されたと報じられたばかり。石井氏は「この『闇の列車、光の旅』を見て、生きるために死ぬ思いをしなければならないという人たちが数多くいることを知って」とメッセージを投げかけた。

《レスポンス編集部》

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