三菱自動車の『パジェロ』に、ディーゼルエンジンモデルが4年ぶりに復活した。新ディーゼルエンジンによる注目の走りは、どれだけ進化しているか、興味津々といったところだ。
スペック上では燃費がよくなっているだけでなく、0 - 100km/0 - 400m加速などで確実なタイムアップを見せていて、体感的にも頼もしい加速感を披露してくれる。
さすがにエンジンのかけ始めは、ブルンというディーゼルらしい主張があり、そのあとも意識的に耳を澄ませばのレベルだが、独特のディーゼル音が聞こえてくる。ただし、その音色は旧来のディーゼルエンジンとは異なり、吸音材や遮音材を活用したノイズ対策の成果。エンジン音の発生ポイントがかなり遠くになったと感じられる。
走行中での快適度合いであるが、旧来のエンジン搭載車でとくにストップ&ゴーの走行モード時で意識させられた車体を振るわせるような不快な振動はまったくない。まるでガソリンエンジンみたい、というのは大げさだが、心地よいレベルのビート感のみが伝わってくる。
発進してみてもその印象は変わらず。トランスミッションが5速化されたこともあるのだろうが、とにかく出足が力強くて滑らかだ。
ディーゼルゆえのメリットを再認識しつつ、騒音が異例なほど少ないことも手伝って、ガソリンエンジンよりもかなり扱いやすいのは確かだろう。加速時も気持ちよく吹けてくれるので、回すほどにトルクが先細るという従来のディーゼルに対する負の印象もまったくない。変速フィーリングもポンポンと小気味よくシフトアップしていくから、上まで無理して回さなくても、スルッとした自然な加速感だ。
「まさにそのフィーリングなんです。ディーゼルを意識せずに、扱いやすさをアップさせています。その結果、パジェロらしい走りを得ることができた」と開発を取りまとめた志村友訓さんは語る。
パジェロだけでなく、今後の新世代ディーゼルエンジン車の行く末を提示するという意味で、じつに意味のあるグレード追加といっていいだろう。