【伊東大厚のトラフィック計量学】これからの運輸部門CO2排出見通し

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CO2排出量見通しを修正した運輸部門

先月末閣議決定された「京都議定書目標達成計画」では、運輸部門のCO2排出量見通しが2010年度で2億4000万 - 2億4300万トンに改定され、これまでの目標(2億5000万トン)より削減上積みが見込まれている。見通しどおり実現できるだろうか。

図1に示すように、運輸部門のCO2排出量は01年度をピークに減少傾向にある。06年度の実績速報が2億5400万トン、あと年あたり300万 - 400万トン減り続ければ、10年度に2億4000万トン前後の水準に達する。

◆燃料消費量からみた07年度のCO2排出量見通し

まず、07年度の状況はどうなっているだろうか。自動車の主要燃料であるガソリン、軽油の月別販売量は、昨年4月から2月まで11か月間で06年度比−1.7%減と順調に減少している(図2)。

自動車の燃料消費量をCO2に換算すると2億2500万トン程度であり、運輸部門CO2の9割近くを占めている。自動車の燃料は殆どガソリンと軽油であるため、この両者の販売増減が運輸部門CO2の増減を決めると言ってよい。

07年度、自動車からのCO2は06年度比1.7%、380万トンは減るだろう。船舶用の重油やジェット燃料が多少増加したとしても、運輸部門全体で2億5000万トンあたりまで減少すると見られる。約束期間の前年としては、よい位置につけそうだ。

◆暫定税率失効の影響は?

道路財源の暫定税率がどうなるかによって、燃料消費量は影響を受けるだろうか。図2の販売量データは2月までだが、3月は4月からの暫定税率失効による“買い控え”の影響で大幅減となり、4月はその分増加するだろう。

このような“買い控え”であれば、数か月間合計すれば消費量は同じで問題はないのだが、「燃料価格の低下でクルマが多く使われCO2が増える」といった指摘があり、暫定税率維持の理由づけにもなっている。

運輸部門は、低燃費車の普及をはじめ有効な対策があり、交通需要も頭打ちであることなどから、これからも年300万 - 400万トンの削減は可能だろう。また景況感が悪いことなどから、仮に燃料税が下がったままでもCO2が増加に転じるほどの影響はなさそうだ。しかし削減ペースが鈍る可能性はあるため、何らかの対策は必要だと思う。

《伊東大厚》

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