9人死傷の無謀運転事故、被告と検察双方の控訴棄却

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2005年10月、神奈川県横浜市都筑区内の市道で、暴走した乗用車が下校途中の高校生を直撃。9人が死傷する事故を起こして危険運転致死傷罪に問われた25歳の男に対する控訴審判決公判が19日、東京高裁で開かれた。被告と検察側の双方が控訴していたが、裁判所は1審判決を支持している。

問題の事故は2005年10月17日午前に発生した。横浜市都筑区南山田付近の市道を走行中の乗用車がコントロールを失って路外に逸脱。そのまま歩道に突っ込み、高校生2人が死亡。7人が重軽傷を負っており、警察は業務上過失致死傷の容疑で23歳(当時)の男を逮捕したが、その後の調べで、クルマは100km/h以上の速度で走行していた可能性が高くなり、検察が危険運転致死傷罪で起訴していた。

1審の横浜地裁判決では「著しい速度超過だった」という検察側の主張を採用。対向車線へ故意に進入していることから「進行を制御することが困難な速度で、故意に危険な走行を行った」と認めたものの、量刑については「この種の事案としては最も悪質であるが、他の事案との均衡をふまえたとすれば、再上限の懲役刑は躊躇せざるをえない」として、懲役20年の求刑に対し、同16年の実刑を命じた。これに対して被告と検察側の双方が「量刑不服」を理由に控訴していた。

19日に行われた控訴審判決で、東京高裁の長岡哲次裁判長は「被告は100km/hを超える速度で走行し、カーブをショートカットするアウト・イン・アウト走行を行っていた」と危険運転を認定。業務上過失致死傷の適用を求めていた被告の控訴を棄却した。

検察側の主張に対しては「本件よりも悪質な危険運転事案は起こりうるものであり、1審判決の量刑理由は、本件よりも悪質な事案に対して(最高量刑を言い渡す)余地を残したことが趣旨となっている」と指摘。「原判決の認定は正当であり、高裁としても是認可能である」として1審判決を支持し、こちらの控訴も棄却した。

《石田真一》

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