社員の飲酒運転を防ぐ責任は勤務先にも生じる

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2001年12月、石川県金沢市内の北陸自動車道を泥酔状態で乗用車を逆走運転し、正面衝突事故を起こした58歳の男(現在は服役中)と、その男の勤務先に対し、総額1億4000万円あまりの損害賠償を求めた民事裁判の判決が11日、金沢地裁で行われた。

裁判所は被告側に対し、総額で約5600万円の支払いを命じている。

この事故は2001年12月8日に発生している。同日の午後7時10分ごろ、金沢市宮野町付近の北陸自動車道上り線を逆走してきた乗用車が、順走してきた49歳男性(当時)の運転するクルマと正面衝突し、同乗していた男性の妻が死亡した。

警察では逆走車を運転していた56歳(当時)の男を業務上過失致死で逮捕した。後の調べでこの男は事故当時には泥酔状態で、しかもそれが原因で降りるインターチェンジを間違え、元に戻ろうとして逆走を行っていたことが判明。さらには事故を起こす1カ月前にも別の飲酒運転容疑で検挙されていたこともわかった。

現在であれば危険運転罪が適用される事案ではあるものの、当時は危険運転罪の施行直前であったため、男の罪は業務上過失致死罪が適用され、懲役3年6カ月の実刑判決が言い渡された。刑は確定し、男は現在も服役している。

今回の民事訴訟では、事故を起こした男に対しての賠償責任追及はもちろん、男が当時勤務していた会社が飲酒運転防止対策を怠っていたことに対し、これを裁判所がどう扱うかが注目されていた。

11日の判決で金沢地裁の井戸謙一裁判官は、被告の男が事故を起こしたクルマにウイスキーやそれを飲むためのコップ、おつまみ類を常備していたことに触れ、「これらの常備からみても、被告が日常的に飲酒運転を繰り返していたことは間違いない。以前にも飲酒運転絡みの事故を2回起こしていることを考えたなら、事故は単なる過失によって起きたのではなく、故意に近いともいえる状況で起きた」と指摘した。

また、勤務先の責任についても「勤務先の会社は被告の男が何度も飲酒運転絡みの事故を起こしていることを知りながら、会社として飲酒運転防止の措置を取るなど、必要な責任を取っていたとはうかがわれない状態だった」とも指摘。両者に対し、連帯して約5600万円の賠償を行うように命じている。
《石田真一》

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