「死人に口なし」認めない---信号表示を巡る裁判が決着

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検察が一度不起訴処分としながら、遺族側が起こした民事訴訟で新しい証拠が提示され、事故を起こした責任があると認められ、後にこれを根拠に検察側も業務上過失致死罪で在宅起訴に踏み切った38歳の男に対する判決公判が15日、名古屋地裁で開かれた。

裁判所は男に対して執行猶予付きの有罪判決を言い渡している。

問題の事故は2000年4月に愛知県弥富町内で発生している。県道交差点で21歳の男性が運転する乗用車と、被告の運転する乗用車が出会い頭に衝突。この事故で男性は全身を強く打って死亡した。

現場の交差点には信号機が設置されていたが、被告は事故当初から「男性側が信号無視を行った」と主張した。しかし、目撃者が存在せず、実際の信号状況が確認できないこともあり、警察は男を不起訴処分にしていた。

これと並行して男性の遺族は慰謝料などの損害賠償を求める民事訴訟を進めていたが、遺族側は目撃者を探し出し、目撃者として証言をさせた。

この目撃者は事故現場に居合わせており、「事故直後に信号機をとっさに見た。そのときは死亡した男性側が黄色に変わっているところだった」と証言。裁判所はこの証言を採用し、被告が赤信号を無視して交差点に進入したと判断。

民事訴訟判決では被告を一方的加害者として扱い、損害賠償の支払いを命じた。

遺族はこの結果をもって検察に不服を申し立てたが、検察もこれを受けて加害者とされた男を在宅のまま業務上過失致死罪で起訴していた。

15日に行われた判決公判で、名古屋地裁の片山俊雄裁判長は死亡した男性のクルマが青信号で交差点に進入したという目撃証言を民事訴訟に続いて採用し、「自分は信号を厳守していた」という被告の主張を退けた。

その上で「死人に口なしという状況で責任逃れを行おうとした責任は重いが、賠償には応じている」として、禁固1年6カ月(執行猶予4年)の有罪判決を言い渡した。
《石田真一》

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