高速道路を走行中に同乗者3人を死亡させる事故を起こしたことで、業務上過失致死罪に
問われていた35歳の男に対する判決公判が8日、盛岡地裁で開かれた。当初は運転の責任を死者に押し付けようとしていた被告に対し、裁判所は禁固2年6カ月の有罪判決を命じている。
問題の事故は2001年10月28日の午後10時35分ごろに発生している。北上市鬼柳町の東北自動車道下り線で、追い越し車線を走行していたワゴン車が中央分離帯に激突して横転、大破するといいう事故になった。
クルマには4人の男性が乗っていたが、うち3人は車外に投げ出されるなどして死亡していた。唯一の生存者は「後部座席に座っていた。クルマは事故で死んだ男性が運転していた」と主張、治療のために郷里の広島に戻っていった。
だが、その後の調べで、運転していたとされる男性が倒れた位置に“運転席から投げ出された”とするのは無理があることが判明。そして生存していた男の受傷状況は“運転席でシールベルトを着用していたとしか考えられない”ということもわかった。
このため警察では「生存者の男がクルマを運転していた」と断定。今年6月に逮捕・起訴していた。
8日に行われた判決公判で、盛岡地裁の卯木誠裁判官は「降雨で路面が滑りやすいと知りながらも最高速度を守らないばかりか、ハンドルを的確に操作せずに側壁へ接触した過失、その結果として同乗者3人を死亡させた刑事責任は重大だ」と結論づけ、検察側の禁固3年6カ月の求刑に対し、禁固2年6カ月の実刑判決を言い渡した。