ホンダ『エレメント』は「北米に住む20〜30歳代のアクティブな世代」をメインターゲットに開発が行われてきたクルマだ。開発スタッフも若いアメリカ人が中心。マーケットリサーチも北米で行われている。
「ふと気がつくと、今のホンダには若い世代にアピールできるアクティブなイメージのクルマが無くなっていたことに気づいた。それが開発を進めることになった理由のひとつです」と開発責任者の松嶋稔郎さんは語る。
アメリカ人がホンダに持つイメージは「若々しく、アクティブなクルマを作る会社」だという。ところがホンダの主力車種がミニバンに移行し、開発陣の中からも「ファミリー向けではなく、若いスタッフが等身大で乗れる快活なイメージのクルマが欲しい」という意見が増えてきた。そして、それを実現させるために動き出した開発プロジェクトだったという。
若者向きということで考えると、アメリカでも販売している『CR-V』が当てはまりそうな気もするが、松嶋さんは「CR-Vは北米だと小回りが効いて買い物に便利な“Mammys Car”という扱い。日本で言うところの主婦向け軽自動車といった感じでしょうか。そうしたクルマに若者が乗ると“ダサイ”と言われるので敬遠してしまう」という。若者が乗っていて違和感のない、(アメリカ人にとって)カッコイイと思えるクルマを作ることがラインナップに穴を開けないという意味でも急務だったのだ。