【トリノショー直前特集】世界のカリスマデザイナーたち(最終回)ワルター・デ・シルヴァ/セアト

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カーデザインがこれだけとりざたされる以前から、スタイリングに専心し、その魅力を存分にまとってきたのがイタリアのクルマである。とりわけアルファのデザインは官能のアートとまでいわれる域にある。その不動の地位を築いた立役者がワルター・デ・シルヴァだろう。

IDEAからアルファ移籍後、まず手がけたコンセプトカーのプロテオは91年のジュネーブショーで披露された。これは、ピニンファリーナとの共作にはなったものの、3年後のGTV/スパイダーにも受け継がれた。さらに量産車では145を発表。ハッチバックのボディーながら、アルファの名に恥じない存在感あるスタイリングを生み出した。

しかし、その名を世に知らしめたのは、なんといっても156だろう。

世界一美しい4ドアセダンと称されるスタイリングは、一見するとクーペを感じさせるデザイン処理が見られる。リアドアのハンドルを視覚的に隠しているのも、そのひとつ。

さらに伝統回帰の手法を多用している点も見逃せない。フロントの盾型グリルとエンブレム、流麗なルーフライン、やや尻下がりになったトランクリッド…。いずれも往年のアルファをイメージさせるものばかりだ。世界のアルフィスタを熱狂させないわけがない。停滞していたアルファを一躍復活させたことは記憶に新しい。

しかし、98年にデ・シルヴァは突然スペインのセアトに移籍。早くも第一弾のサルサが今春のジュネーブ・ショーに登場した。根っからのイタ車デザイナーだったデ・シルヴァが、VW帝国のブランドでどのような手腕を見せるか。今後が楽しみである。

●ワルター・デ・シルヴァ
1951年イタリア生まれ。検査官の専門学校に通うが、カーデザイナーを目指し、72年にチェントロ・スティーレ・フィアット(フィアット・スタイリング・センター)に入社した。その後、79年のIDEAを経て、89年にアルファロメオのデザインディレクターに就任。さらに98年、セアトへ移籍した。

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