【F1モナコGP 詳報】計時システムエラーで大混乱!! これでいいのかFIA!?

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混乱に陥ってしまった今年のモナコGP。とくにスタート時に発生したドタバタ劇は、レースの主役たちが次々と脱落するという波乱の展開によって隅に追いやられた感もあるが、軽視できない重大な過失があったことを指摘しておきたい。もしもM.シューマッハーやハッキネンが共に「ある過失」が原因でリタイアしていたとしたら、問題はもっと強い論調で語られていたはずである。

14時ちょうどに最初のフォーメーションラップから全車がグリッドに戻り、スタートを待っていたがベネトンのウルツがエンジンストールしてしまいスタートディレイ。ブルツはスペアカーに乗り換え、最後尾グリッドへ。

2度目のスタートは、現地時間14時08分に切られたが、全車が第1コーナーのサン・デボーテを通過した後、ホームストレート上で原因不明の赤旗が振られた。その直後にステーションヘアピンでアロウズのデ・ラ・ロサがスピンを喫し、後続車が次々と立ち往生してしまう。重要なのは赤旗の原因がデ・ラ・ロサのスピンではないということだ。そして3度目のスタートは14時30分すぎに切られる……。

赤旗が提示された理由は、計時システムのエラー(故障)だった。しかしテレビでモナコGPを観戦していた方の多くは、モナコGPの主催者であるACM(モナコ自動車クラブ)の不手際と映ったかもしれない。しかし事実は違い、FIAの落ち度として追求されてしかるべき事態が陰に潜んでいた。

F1のスタート手順は、スターター(FIA側の人間)がフォーメーションラップから戻った全マシンとコース上の安全を確認した後に、システムのボタンを押す手筈になっている。無論、システムの管理者はFIA側の人間だ。レース中断の赤旗や、走行注意をうながす黄旗も、すべてコントロールタワーに居るFIA側のオフィシャルが各コーナーポストのマーシャルにシステムから指示を出す。

今回のケースの場合、システムのエラー(人的ミスの可能性が100%無かったとは言い切れない)によって赤旗提示の指示が突然出されたわけだが、コースサイドで赤旗を振ったACM管轄のコースマーシャルたちに責任はない。彼らはコントロールタワーから出された「赤旗提示」という指示に従っただけ。コーナーポストでは赤旗の原因は問題ではなく、その指示を迅速にドライバーたちへ伝えることこそがコースマーシャルたちの使命なのである。

FIA側が「システムのエラーでした」と言うのは簡単だが、その「間違えた指示」によって被害は拡大してしまった。ウルツ、バトン、ハイドフェルド、マッザカーネがピットスタートを強いられ、デ・ラ・ロサはTカーが無く再スタートできずにリタイアを喫した。BAR・ホンダのヴィルヌーヴとゾンタもTカーに乗り換える羽目になっている。もちろん自分のグリッドからスタートできたドライバーのマシンにも、3度の全開スタートによる負荷がかかっていたことは想像するに難くない。

システムの故障は立派な人的ミスである。F1というイベントの危険性を考えた場合、二重、三重のエラーを防ぐ回路なり人員配置が敷かれていて当然ではないだろうか? ドライバーやサーキットの主催者側に何らかのミスがあった場合には、なんでも罰金という体質がFIAにあるが、その逆は(公式には)あり得ない。これではまるで、どこかの国の腐敗した警察組織のようである……。

《編集部》

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