後遺障害者対策の充実決定、しかし天下り問題は触れずじまい

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運輸省の「今後の自賠責保険のあり方にかかる懇談会・後遺障害部会」は、「交通事故による重度後遺障害者等に対する救済策充実の方向」の中間報告をとりまとめた。自賠責保険の運用益を活用して後遺障害者対策を充実していくという内容だ。

中間報告では、自動車事故対策センターが運営する重度後遺障害者のための療護センターの介護病床のベッド数を140床から、2倍強の310床に拡大する。新たに短期入院制度を設けて在宅介護を支援する。また、介護料の支給対象の拡大と支給額も引き上げることになった。現在、支給対象は後遺傷害等級1級の一部に限られるが、これを1級の全てと2級の一部に拡大する。支給額についても引き上げる。

交通事故にあって情緒障害、記憶障害、行為障害などが発生した患者は、新たに高次脳機能障害者として認定システムを確立し、保険金支払を適正化する。従来、高次脳機能障害は自賠責保険の請求の対象外だったが、今後は認められることになる。自賠責保険請求の時効は2年だが、交通事故による高次脳機能障害と判明してから2年以内なら請求が可能で、これまで認められなかった患者も認められる見込みだ。

これらの重度後遺障害者の介護充実は自賠責保険の運用益で活用するが、問題は運輸省の天下り自動車事故対策センターの役員の高額な給与や退職金はそのままに自賠責保険の運用益に負担に頼るところだ。介護の充実はもちろんだが、その前に改革に着手すべき問題があったのでは、と批判が集まりそうだ。

《レスポンス編集部》

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