標準化による物流の革新
IoTの進化は、物流に関するあらゆる機能・情報を広くつなぐ効果をもたらす。特定の企業が有していた機能・情報が見える化され、他社と共用されるようになる。物流版シェアリングエコノミーともいうべき新たなビジネスの萌芽が現出しつつあるわけだ。
その方向性は、「垂直統合による標準化」、「水平統合による標準化」、「物流の範囲を超えた標準化」の3つに大別される。省人化を「人の仕事を機械やシステムに置き換えるDX」と捉えるなら、標準化は「人の仕事を機械やシステムに置き換えるにあたって必要となるリソースをシェアリングエコノミーによって最小化するDX」といえるだろう。
垂直統合による標準化
米国のソフトウェアプロバイダーであるInforは、工場での調達・生産・在庫・出荷から納品先や他拠点への輸送に至るまでの供給のプロセスをリアルタイムでトレースすることが可能な“Infor Nexus”を提供している。物流と商流の双方を見える化することで、需要動向を見据えた生産・出荷計画の作成、在庫の状況に即した調達量や生産量の変更などを柔軟且つ機動的に実行できるようになる。供給のプロセス全体としての最適化を支援するプラットフォームといって差し障りないはずだ。
Infor Nexusは、世界の主要な物流会社と連携しており、出荷ロット、リードタイム、コストなどの条件に応じて最適な輸送ルート・手段のレコメンデーションを得られることも特長である。将来、それに加えて委託先の物流会社を手配する機能をも提供するようになれば、フォワーダーと同等の機能を担えるようになる。そうなれば、Inforを始めとするソフトウェアプロバイダーが供給のプロセス全体を管理するようになるかもしれない。