ロジスティクスプラットフォーマーによる物流の最適化

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Hacobu - Data-Driven Logistics

2021年4月19日、物流スタートアップのHacobuは、第三者割当増資により総額9.4億円の資金調達を行ったことを発表した。併せて、ステークホルダーとのパートナーシップを強化するとともに、アプリケーションの開発・販売や物流ビッグデータ分析基盤の強化にかかる人員を増強すること、物流業界初となるビッグデータ・ガバナンス体制を立ち上げることも表明した。

Hacobuは、物流に関する企業間でのやり取りや現場の業務をデジタル化するアプリケーション群“MOVO”の提供を通じて、事業者・業界の垣根を超えた「モノと車両と場所」にかかわる情報をビッグデータとして蓄積し、物流全体が最適化されることを目指している。2015年に設立されて以来、アスクル、大和ハウスグループ、Sony Innovation Fund(ソニーグループ)、日本郵政キャピタル(日本郵政グループ)、三井不動産、日野自動車といった名だたる企業の出資を得るなど、戦略的に事業を拡大してきた。今般、新たに野村不動産グループや豊田通商などが株主に加わったことで、物流ビッグデータの蓄積・活用に向けた取り組みが加速するものと推察される。

現状、MOVOは4つのアプリケーションによって構成されている。

  • MOVO Berth: トラック予約受付サービス(バースの時間予約や自動割当を可能とすることで、入出荷作業を効率化するだけではなく、トラックの待機問題を解消できるアプリケーション)

  • MOVO Fleet: 動態管理サービス(トラックの現在位置や運行状況を見える化するとともに、到着・待機時間を記録できるアプリケーション)

  • MOVO Seek: 流通資材モニタリングサービス(かご車、パレットなどの流通資材の現在位置や滞留状況を把握できるアプリケーション)

  • MOVO Vista: 配送案件管理サービス(配送手配のプロセスをオンライン化することで、電話やFAXの利用を撲滅できるアプリケーション)

ユーザーとなる荷主や運送会社は、特定のアプリケーションだけを使うことも、全てをトータルで利用することも可能だ。既に500社を超える企業が導入しており、物流業界での存在感を着実に高めていることは間違いない。

Hacobuの戦略の特長は、これらのアプリケーションを提供し、以て収益を得ることを第一の目的とするのではなく、物流ビッグデータを蓄積・活用することで、サプライチェーン全体の最適化を図ろうとしていることだ。SAPジャパン、日野自動車、ライナロジクスといったアプリケーションパートナーとの連携は、その一環と捉えられる。

Hacobuは、データがあることにより、事実を共有し、事実を見つめなおし、建設的な解決策を考え、新しいロジスティクスの在り方を考えていく、そのようなロジスティクスの世界を“Data-Driven Logistics”と定義し、その実現に邁進することを標榜している。「MOVOをインストールすれば、今まで人手で対応していた物流管理が全て自動で制御・最適化される」というのは1つの理想形であろう。

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《小野塚 征志》

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