小海線の列車制御にも無線式を導入…JR東日本では仙石、埼京に次いで3例目 4月20日から

小海線
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  • 小海線に導入される無線式列車無線システムの概要。
  • 無線による新しい速度制御の概要。

JR東日本は3月10日、小海線(小淵沢~小海~小諸)に無線式列車制御システムを4月20日に導入すると発表した。

JR東日本では、1995年から日立製作所と共同で「ATACS(アタックス)」と呼ばれる無線式列車制御システムを開発しており、宮城県の仙石線での実験を経て、2011年3月には同線のあおば通~東塩釜間に導入。2017年11月には首都圏の埼京線池袋~大宮間にも導入されている。

従来の列車制御は、線路上に置かれた地上子から列車へ非常ブレーキなど信号機の条件に応じた情報を伝送していたが、新たに導入されるシステムでは伝送方法を無線に切り換え、列車自らが速度照査パターンを作成する。これにより列車自身が速度を常時チェックすることが可能となり、速度パターンを超過した場合は自動的にブレーキ制御が働くようになる。

また、全線単線の小海線では、駅間に1本の列車しか入ることができない閉塞方式となっており、これには電子符号照査式による「特殊自動閉塞式」が使われているが、運転士が閉塞を確保するために車両内に設置されているスイッチを操作して信号機を制御する必要があった。

しかし、今回導入される無線式のシステムでは、ダイヤに基づいて自動で信号機を制御することが可能となるため、その操作が不要となる。

これらの方法により、各駅に分散していた信号機などの地上設備を1か所に集約でき、伝送用の複雑なケーブルも不要になるなど、設備のスリム化を図ることができるほか、輸送の柔軟性も向上するとしている。

なお、小海線の導入に際しては、4月19日の終発から翌始発にかけて切換工事が実施される予定。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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