JR九州は12月20日、香椎線(香椎~西戸崎)で自動列車運転装置による走行試験を12月下旬から開始すると発表した。
JR九州では将来の労働人口の減少を視野に、自動列車停止装置(ATS)のDK型(ATS-DK)をベースにした自動列車運転装置の開発を進めてきた。
ATS-DKは従来のATS-Sx(ATS-Sの改良型)と互換性のあるATS-D型の一種で、JR本州3社とJR四国で使用されているATS-Dxがベースとなっているが、JR北海道とJR九州のものはDx型と仕様が若干異なることから、前者を「DN型」、後者を「DK型」と区別している。
ATS-Sxでは、線路(地上)側に設置された「地上子」で速度照査を行ない、超過があった場合は、そこから車両側に設置された「車上子」へ信号が送られ、警報を発する仕組みになっているが、ATS-Dでは、線路条件や車両性能に関するデータベースを車上側に設け、速度照査を車両側から行なえるようになっている。これにより、速度制限箇所に地上子を設置する必要がなくなり、車両の性能に見合う速度制限が可能となっている。
香椎線における自動運転の走行試験は2両編成のBEC819系「DENCHA」が使用され、2020年2月中旬までの延べ25日程度実施。運転士が乗務した状態で、加速・惰行・減速・停止位置といった車両の制御機能や運転時分、乗り心地などの確認が行なわれる。
JR九州では、運転士が乗務した状態での営業列車における実証運行の2020年中実施を目指したいとしており、将来的には「GoA(Grade of Automation)」と呼ばれる、運転士以外の係員が乗務する自動運転の実現も視野に入れるとしている。