日本特殊ボディー(NTB)は、いすゞ「Be-cam(びーかむ)」シャーシをベースにしたキャンピングカーをもっぱら手掛けるビルダーだ。今回のショーでは、その優位性、そしてエクスクルーシブな納車までの流れなどに触れることができた。
国産キャブコンバージョンタイプのキャンピングカーと言えば、トヨタ「カムロード」シャーシを利用したものがポピュラーだ。いっぽう小型トラック市場でポピュラーな存在がいすゞ『エルフ』。このエルフをベースに、いすゞがキャンピングカーのため仕上げた専用シャーシがいすゞBe-camだ。
リヤのサスペンションは専用のものに変更され、乗り心地と走行安定性を高次元で両立、オルタネーターはいすゞラインナップで最大のものを採用。走行充電の速さでは他のモデルに負けないとNTBでは胸を張る。
話をさらに聞くと、他社にないNTB独特のオペレーションでキャンピングカーが完成されていることが分かった。
「まずオーダーいただくと、私どもの地元ではなく、お客様のエリアのいすゞディーラーからBe-camを購入します。そして架装し、最終的な納車前点検はお客様の地域のいすゞディーラーで行います」とNTBでは話す。
「こうすることで、ディーラーにお金も落ち、製品自体もしっかりチェックできるので、私どものお客様であると同時に、地域のいすゞディーラーのお客様にもなり、長いお付き合いが始まるのです」
「また、いすゞがエルフユーザー向けに展開しているサポートサービスのエルフサポートに、キャンピングカーではBe-cam車だけが無料加入することができます。新車5年10万kmの保証に加え、年に一度いすゞディーラーに入庫して、点検や車検を実施してもらうことで8年16万kmまで保証が延長されます。さらに様々な特典が用意されています」
会場にはBe-cam1.5tをベースにした「TSUBASA」と、Be-cam2tベースで完成した「ASAKAZE」の発展型、「SINOBI」のオーダー仕様が展示されていた。TSUBASAはそれまで「SAKURA」としてオーダー制で製造してきたものを規格化したモデル。NTBラインナップのモデル名は往年の国鉄~JRブルートレインの列車名から名付けられたものが多い。
室内を見学すると、スクエアなキャビンを惜しみなく利用した居心地のいい空間が広がる。国内生産品でそろえられた家具や仕様接着剤はシックハウスの心配のないものにこだわっているという。
「『SINOBI』に関しては特注でバッテリーを増設していますので、エンジンをかけなくても、フル充電から4日間エアコンをかけっぱなしにすることもできます。重量物であるバッテリーを増設できる余裕があるのも、やはりシャーシの良さあってのことではないでしょうか」
NTBのキャンピングカーは、ビルダーとしてのこだわりもシェルの作りに注がれているが「いすゞの専用シャーシに乗っている」ということも存分にアピールできる。
いすゞの乗用車生産は、海外向けのSUVモデルを一部残すのみ。いすゞの乗用車製造復帰を望む声は多く聞かれるが、Be-camをベースにしたキャンピングカーこそ、今なお日本で購入することができる乗用いすゞ車だ。