橋梁点検も人から無人へ、ドローンかキャタピラーか…デンソー&首都高技術【ハイウェイテクノ2017】

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デンソーが開発中のドローン。純日本製の産業用UAVだ。
  • デンソーが開発中のドローン。純日本製の産業用UAVだ。
  • 各ローターにはリンクが組み込まれており、プロペラの角度を変更することで同じ回転数でも揚力が変化する。
  • 実際の点検作業の様子。風速10m/sでも安定した飛行が可能。
  • 首都高技術が開発中のやもりん。鋼材であれば壁でも天井でも貼り付いて進み、撮影画像を転送できる
  • キャタピラーの1コマ1コマにネオジム磁石が組み込まれており、底部にもネオジム磁石製のローラーがあり、車体を鋼材に貼り付けさせる。

高速道路などの高架道路は路面や側壁だけでなく、裏側つまり橋梁も点検や補修が必要だ。今年のハイウェイテクノフェア(21~22日、東京ビッグサイト)では、そんな高架道路の裏側を点検するための様々な最新機器が展示されていた。

デンソーはRCメーカーのヒロボーと共同開発したオリジナルのドローンを展示。自慢は可変ピッチ翼を採用していることだ。

「ヘリコプターでは当たり前の技術ですが、ドローンではまだ他ではほとんど採用していません」と説明員。

可変ピッチ翼をドローンで採用するメリットは、横風などを受けた際に安定させるための制御をモーターの回転数だけでなく、ローターの角度も変えることで素早く揚力を変化させることができること。より高い安定性が見込めるそうだ。そうした制御はすべて自動で行うため、ECUが収まる中央のハウジングが大きく、全体的にゴツい印象の作りではある。

同社としては、このドローンを販売するより、まずは橋梁点検のサービスとして確立させたいとのこと。いくら安定性が高い機体といっても、操縦するにはそれなりのスキルが要求されるため、熟練したスタッフによる点検サービスを提供していく考えだ。

一方、首都高速などは美観や騒音対策のためか、高架の裏側を覆っている。この場合、ドローンでは狭い空間を飛び続けて点検するのは不可能。首都高速技術では、そんな問題を解決する秘密兵器が開発中だ。

それが磁石式鋼橋点検装置「やもりん」。改良を重ねて、現在のモデルは3代目。車輪ではなく無限軌道、いわゆるキャタピラーを採用しており、その1コマ1コマに強力なネオジム磁石が取り付けられている。さらに底部中央にはネオジム磁石でできた車輪が備わり、鋼材に貼り付いて自重を支えられるだけの磁力を維持する仕組みだ。

「人が入っていけない空間でも、これで点検することができます」と説明員。

カメラの映像を送りながら、無線操縦で進んでいくことで点検するのだ。ただし、乗り越えられる段差などに制限があるため、別用途用に尺取り虫型の4型も開発中だそうだ。

《高根英幸》

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