ジェイテクトの電動パワステ戦略…新開発RP-EPSで攻勢

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ジェイテクト RP-EPS製造ラインの概観
  • ジェイテクト RP-EPS製造ラインの概観
  • ジェイテクトの第2ステアリングシステム事業部 第2開発室長の山元達裕氏
  • ジェイテクト RP-EPSシステム
  • ジェイテクト RP-EPSのカットモデル
  • ジェイテクトは光洋精工と豊田工機が合併して2006年に誕生した。
  • ジェイテクトが提供するEPSシステム。EPSのほぼ全種類をカバーする
  • グローバルにおけるEPS市場の予測。生産台数の増加とともに、ESP化率も上昇する
  • RP-EPSの採用車第一弾となったレクサスLC

ジェイテクト(JTEKT)は6月1日、同社の花園工場(愛知県岡崎市)において、昨年末から生産を始めている新製品のラックパラレルEPS(RP-EPS)説明会と生産ラインの見学会を行った。

ジェイテクトは、光洋精工と豊田工機が合併して2006年に誕生。主力製品は電動パワーステアリング(EPS)、トルセンLSDやITCC(Intelligent Torque Controlled Coupling=4WD車用電子制御カップリング)などの駆動系部品、軸受(ベアリング)、工作機械・メカトロニクスなどだ。

その中でもEPSは近年、従来の油圧パワーステアリングに代わる形で需要が大きく伸びている。その追い風となっているのが低燃費化ニーズだ。最近ではアイドリングストップだけでなく、走行中のエンジン停止に対応するためにもEPSが必須であるし、先進安全装備の一環として操舵支援や自動操舵を行う上でも、信頼性の高いEPSが求められている。

ちなみに世界のステアリング市場におけるジェイテクトのシェアは26%で1位(2016年)であり、うち約6割を占めるEPS市場でも約30%で1位だが、最近はSUVなどの大型車でもEPSの採用が進み、高価格帯での競争も激しくなっている。同社では今後、車両生産台数の増加とEPS化率の上昇によって、2020年にはEPS装着車の台数が2014年比で1.42倍(2100万台が増加)に達すると予測している。

ジェイテクトは、小型車向けにはモーター等をステアリングコラムに配置するコラムEPS(C-EPS)を供給するほか、欧州メーカーの上級FF車向けにはトルク容量が大きく、静粛性に優れるDP-EPS(デュアルピニオンEPS)を現地生産している。また、FRの上級車向けには、モーターをステアリングラックと同軸に配置するラックEPS(RD-EPS)をこれまで供給してきた。

これらに加えて、昨年12月から花園工場で生産が始まり、第一弾としてレクサスLCに採用されたのが、新開発のラックパラレルEPS(RP-EPS)だ。操舵感だけでなく搭載性にも優れ、FR車だけでなくFF車にも搭載可能な点が、従来のEPSにない特徴である。

現在、同工場では従来型のRD-EPSを月1万2000基のペースで生産しているが、新開発のRP-EPSもすでに月1万4000基ペースで生産している。さらに今年11月にはRP-EPSの第2ラインを稼働し、2018年には2ライン合計で月6万基を生産する計画だ。おそらく従来のRD-EPSは、徐々にRP-EPSに置き代わっていくだろう。ちなみにRP-EPSの1ラインあたりの投資額は約35億円だという。

そして今後は、海外にもRP-EPS生産ラインを展開する。SUVやピックアップトラックなど大型車向けEPSの新規需要が見込める北米には、現地工場に2ラインを設置する予定で、中国工場での展開も検討中だという。

また、今後EPSでは、レーンキープアシストなどの操舵支援から、さらに自動操舵などの自動運転機能への対応も重要になると思われるが、それについてRP-EPSの開発を担当した同社第2ステアリングシステム事業部の山元達裕室長は「ジェイテクトでも(自動運転について)独自の研究開発を行っているが、我々ができるのはやはり人間で言えば『筋肉の部分』である」とした上で、「今後自動化を進める上では、これまで以上に3重、4重の冗長化(故障しても機能が失われないようにバックアップ機能を備えること)が重要になる」と語った。

《丹羽圭@DAYS》

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