交政審、首都圏鉄道整備基本計画の議論をスタート

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2010年に開業した成田スカイアクセス。2015年度中に策定される首都圏の新しい鉄道整備基本計画では、空港アクセスの改善が主眼に据えられる見込みだ。
  • 2010年に開業した成田スカイアクセス。2015年度中に策定される首都圏の新しい鉄道整備基本計画では、空港アクセスの改善が主眼に据えられる見込みだ。
  • 練馬区大泉学園町内にある、都営地下鉄大江戸線の延伸を求める看板。18号答申で大江戸線延伸部は光が丘~大泉学園町間が「目標年次(2015年)までに整備着手することが適当である路線」、大泉学園町~武蔵野線方面が「今後整備について検討すべき路線」とされていたが、いずれの区間も着工していない。次期答申ではこうした路線の処遇も焦点になる。

国土交通大臣の諮問機関・交通政策審議会(交政審)は5月7日、国交相の諮問を受けて鉄道部会の会合を開いた。同部会は今後2年かけて首都圏の鉄道網のあり方を議論し、基本計画を答申する。

首都圏における現在の鉄道整備の基本計画は、運輸政策審議会(現在の交通政策審議会)が2000年1月27日に答申した「東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画について」(運輸政策審議会答申第18号)。この答申では具体的な整備路線とその優先順位、既設路線の改良策などが盛り込まれ、関係する自治体や鉄道事業者などは18号答申に基づき新線の建設などを進めてきた。

18号答申は整備の目標年次を2015年としており、あと1年で目標年次を迎える。こうしたことから国交相は4月18日、国土交通省設置法に基づき「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」を交政審に諮問。18号答申に代わる首都圏の鉄道整備基本計画の策定を求めた。

国交相は諮問書で「都市の国際競争力強化の必要性の高まり」「少子高齢化の進展や人口減少時代の到来」「首都直下地震をはじめとした災害リスクの高まり」など、首都圏の都市鉄道を取り巻く環境が大きく変化していると指摘。2020年には東京オリンピック・パラリンピックも開催されることから、空港アクセスの改善や列車遅延への対応、バリアフリー対策の強化、まちづくりとの連携、防災対策の強化、外国人の利用しやすさの向上、情報通信技術(ICT)の活用拡大などを進めることが急務であり、今後の都市鉄道のあり方を速やかにまとめる必要があるとしている。

鉄道部会は今後、総論と具体論の議論を進め、幹線鉄道や都市鉄道、地域鉄道、貨物鉄道、鉄道技術、鉄道の海外展開などについて6月頃に意見を集約。8月には中間取りまとめを行う。2015年度には整備すべき新線や新駅、バリアフリーや防災・遅延対策の水準・方策を議論し、同年度中に答申を取りまとめる予定だ。

《草町義和》

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