アルゼンチン国産ロケット試験機 1号機の打ち上げ失敗

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Tronador IIロケット
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2014年3月6日、アルゼンチン宇宙活動委員会は、2月26日に行われたアルゼンチンの純国産ロケット試験機『VEX 1A』の打ち上げは「実現しなかった」と発表した。アルゼンチン有力紙「クラリン」が5日付けで失敗と報じた結果を追認した形だ。

VEX 1Aは、アルゼンチンが進める、国産ロケットによる人工衛星の軌道投入を目指して開発された6機のロケット試験機のうち、最初の1機。高さ14.5メートル、2.8トンで2月26日にブエノスアイレス州の州都ラプラタ近郊の射場から打ち上げ試験を実施し、高度数百メートルまで上昇、ラプラタ川河口に落下する予定だった。

クラリン紙の報道では、ロケットは60センチほど上昇し、地面に倒れ込んで推進剤が燃える炎に包まれた、としている。同紙が掲載した写真では、VEX 1A試験機はかなり原形をとどめた状態で倒れた様子が見えている。アルゼンチン宇宙活動委員会(CONAE)の発表では、炎上との報道を否定しており、打ち上げは実現しなかったものの射点の設備などに大きな損傷はなかったという。

打ち上げ失敗の原因はまだ調査中だが、判明し不具合箇所の点検、整備後にVEX 1B、1C試験機の打ち上げを実施するとしていている。早ければ数週間以内に実施されるとのことだ。また、VEX 1Aは推進剤として有毒なヒドラジンを搭載しており、打ち上げ失敗時に飛散したとの批判があった。CONAEはヒドラジン200キログラムが搭載されていたことを認めたが、ほとんどが燃焼しており制限区域外への飛散はないと追加の発表を行っている。

アルゼンチンは、アンデス山脈のトロナドール山の名を持つ国産ロケット「トロナドールII」の開発を進めている。完成すれば全長33メートルの3段式で、ウクライナ製のドニエプルロケット(全長34.3メートル)と同程度になる。VEX 1A試験機を含め2014年から2016年まで20億ペソ(1億8000万ユーロ)の予算を投じる予定で、2015年末には250キログラムのペイロードを高度600キロメートルの太陽同期軌道に投入する打ち上げを予定しているという。

《秋山 文野》

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