新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）と豊田通商は、北京市内で、高効率の自動車リサイクルシステムを構築したと発表した。
工場単独の自動車解体としては日中両国で初となる、前処理からフロン破壊などの有害物処理、車体裁断や廃タイヤの破砕までトータルで解体とリサイクルを行う大規模集約型リサイクルシステムの実証プロジェクトとなる。解体に伴う環境負荷を低減し、約90％という日本国内以上のリサイクル率を維持しつつ、年間1万台以上の使用済み自動車を処理する能力を持つ。
この処理能力は、北京市内で解体・リサイクル処理されている使用済み自動車の約13％に相当する。
プロジェクトでは、解体の上流に当たる前処理（有価物の取り外し、有害物の除去）を機械化したほか、積載効率や安全作業を確保するプレス・切断機を導入した。下流で発生する物質の再資源化技術（配線類からの銅回収、廃タイヤの原料化など）まで統合した、トータルシステムを構築した。
廃液やフロンなどの有害物の回収・処理工程までを統合することで、環境負荷低減を徹底。特に、エアコンの冷媒として使われるフロン類については、解体工程内で回収・破壊処理までを行うことで、台当たり約6590kgのCO2削減効果がある。自動車解体業でフロン類の破壊処理まで手がけることは、中国、日本でも初めて。
これら一連の工程を一元的に管理し最適化することにより、日本国内以上のリサイクル率90％以上と低環境負荷を維持しながら、年間1万台の処理が可能なシステムを構築することができた。
NEDOと豊田通商は、2015年度末までの期間、今回開発した設備を使用して、実証データの蓄積とシステムの改良を行う。
豊田通商と昭和メタルは、プロジェクトの現地パートナー企業である北京博瑞聯通汽車循環利用科技へ昨年末資本参加しており、2月27日には北京市内で、プロジェクトの成果報告会と併せて、同合弁企業の開所式を開催した。
同社は、中国初の大規模集約型のリサイクルシステムの構築を実現した合弁企業を、解体工場モデルプラントとし、中国国内でプロジェクトの成果の事業化を行う予定。プロジェクトの成果を中国の他都市へと普及させることで、日本技術の海外展開と環境問題の解決に貢献することを目指す。
