今回の国際ロボット展で最も力が入っていたブースはどこか、と聞かれたら、筆者は間違いなく川崎重工業を挙げる。
それは産業ロボットでも我々に密接に関係しているクルマの生産ラインで働くロボットたちを一挙に展示して、実際の生産ラインをイメージするデモンストレーションを披露してくれていたからだ。
川崎重工業と聞けば、我々はカワサキのオートバイを製造しているメーカーとイメージするが、実は産業ロボットのメーカーとしても活躍している。それどころか船舶や鉄道車両、航空宇宙産業や工場のプラント設備など、クルマ以外のほとんどの大型機械を生産している巨大な重工業メーカーなのである。
それにしても思わず凝視してしまうのは、クルマを組み立てるロボットたちの動きの面白さだ。それぞれのロボットが違う部分をスポット溶接しているのだが、その動きはリズミカルで統制が取れている。まるで産業ロボットたちのダンスパフォーマンスとでも言わんばかりの動きなのである。ムービーでお見せできないのが残念だ。
デモだから動きのスピードを上げて、この演技(?)を実現しているのでは、と思い近くの説明員に聞いてみると、これが通常の動きだと言う。さらには塗装ロボットや摩擦溶接を行うロボット、オートバイのフロントフォークとタイヤを一気に組み付けるためのサポートするロボットなども展示して、その機能を解説していた。
同じオートバイメーカーのヤマハ発動機も、電子部品の製造や検査のためのロボットを出展していた。今やオートバイで培った技術は、産業ロボットとなって様々な工場を支えているのだった。